中途採用が難しいと言われる3つの理由と5つの課題と改善のコツ

『求人広告媒体で募集を行ってもなかなか応募が来ない』『応募はあるけれど、内定までの推移率が悪く採用まで至らない』など、中途採用が難しいと漠然と感じている企業・人事ご担当者様は多いのではないでしょうか。

またその理由や対策が分からず、効果的な施策を打ち出せないまま中途採用を進めているケースも多いかと思います。

今回は、中途採用が難しいと言われる理由を市場状況や中途採用の特徴をベースに解説するとともに、成果を出すための改善のコツをご紹介します。

  • 新卒採用よりも中途採用に苦戦している
  • 中途採用が難しいと漠然と感じているが、有効的な改善方法が分からない
  • 中途採用の施策効果を高めたい

上記のようなお悩みを持つ企業・人事ご担当者様は、ぜひご一読ください!

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中途採用が難しい理由

次の3項目は、中途採用が難しいと言われる理由の根幹です。

  • 採用競争の激化
  • 経験者・優秀人材の転職市場への流出頻度の低さ
  • 採用期間の短さ

「中途採用が難しい」と言われている背景を知らなければ、効果的な採用計画の立案・施策の実施はできません。

まずは、なぜ「中途採用が難しい」と言われているのか、その背景を理解しましょう。

採用競争の激化

中途採用が難しいと言われる理由の1つに、多くの企業が教育コスト不要で即戦力を得られる点から積極的に中途採用者を受け入れているため、転職市場における競争が激化している点が挙げられます。

新型コロナウイルスの影響を受けた2020年を底に業績を回復している企業やコロナ禍で採用を一時中断していた企業も採用再開をし始めていることから、求人数はコロナ前の水準を上回るようになりました。

パーソルキャリア株式会社が運営するdodaが公表した『転職求人倍率レポート』によると、月によって転職希望者数の増減はあるものの、求人数においては2020年8月から右肩上がりに上昇し続けています。
特に2022年8月(2.09倍)、2022年9月(2.11倍)は、有効求人倍率が2倍以上という高い数字を残しています。

本データからも中途採用においては求人に対して転職志望者の数が少なく、売り手市場であることがうかがえます。

参考:パーソルキャリア株式会社 doda『転職求人倍率レポート』

また厚生労働省が発表した「令和4年上半期雇用動向調査結果」では、令和4年度(上半期)に入職した約475万人のうち、約283万人が転職者です。
つまり約6割が中途採用で就職していることになります。

参考:厚生労働省「令和4年上半期雇用動向調査結果」

ご紹介した2つのデータ結果から転職希望者も増えてはいるものの、企業側も人材確保に向けて積極的に中途採用に取り組んでいる様子が分かります。
その結果、採用競争が高まり中途採用が難しいと感じる状況であると推察されます。

では、実際にどのくらいの企業が中途採用に苦戦しているのか?
株式会社リクルートが提供するリクルートエージェントにおける『2022年度上半期中途採用動向調査』からは、多くの企業が中途採用に苦戦している様子がうかがえます。

採用計画ありと回答した9,195社の中途採用充足状況では、次の結果となりました。

  • 計画に対して100%以上採用できた企業:19.0%
  • 中途採用充足率が50%に満たない企業:50.7%
  • 中途採用充足率が50%以上100%未満の企業:30.4%

参考:株式会社リクルート リクルートエージェント『2022年度上半期中途採用動向調査』

採用未充足企業は全体の8割以上にも上り、計画に対して100%以上採用できた企業は2割を満たない結果でした。
さらに中途採用充足率が50%に満たない企業は50.7%と半数以上の企業が採用計画で予定していた成果を残せておらず、多くの企業が中途採用に苦戦している様子が分かります。

経験者・優秀人材の転職市場への流出頻度の低さ

経験者や優秀人材の獲得に課題を感じている企業も少なくないでしょう。

経験者や優秀な人材は、ヘッドハンティングやスカウトなど、市場に出る前に次の転職先が決まることが多々あります。
さらに独立やフリーランスを選択する人も多く、中途採用市場には出にくい傾向があります。

また株式会社マイナビが2022年4月に発表した『中途採用状況調査2022年版』によると、「経験者採用は積極的だが、未経験者採用は消極的」と回答した企業は、全体の45.9%(前年比:7.9pt増)でした。
2018年以降で過去最高となっており、中途採用の中でも経験者の採用意欲が高いことが伺えます。

参考:株式会社マイナビ『中途採用状況調査2022年版』

経験者や優秀な人材が中途採用市場にでる頻度が少ないことや、中途採用の中でも経験者・優秀人材の採用競合率が高いことも、中途採用が難しいと感じる要因の1つになっていると言えるでしょう。

採用期間の短さ

採用期間の短さが中途採用の難易度を高めている場合もあります。

入社から逆算して採用計画を立案しやすい新卒採用とは異なり、中途採用は急な人員補充のため、早急に採用選択を迫られる状況も珍しくありません。
時には人材の有能性・自社とのマッチ率を判断できないまま、内定を出してしまうケースも散見されます。
性急な判断は、入社後のミスマッチや早期離職に繋がりかねません。

長く勤め続け企業の成長に成果を残してもらえなければ、採用が成功したとは言えないため、採用期間の短さが中途採用が難しいと感じさせる要因になっている可能性もあります。

なぜ中途採用に苦戦するのか?『なぜ』から『課題』導き出す

中途採用に苦戦する理由は先述の3つの項目だけではなく、企業により様々な要因があります。

中途採用が難しいと感じられる場合、まずは『なぜ難しいと感じられてしまうのか』その理由を究明し、課題を導き出すことが肝要です。

本項目では、主な5つの課題をご紹介します。

  • 適切な採用計画を定められていない
  • 選考期間・回数は適切ではない
  • 募集時期にズレが生じている
  • 採用コンセプトの定義があいまいになっている
  • 媒体選定・採用手法にミスマッチが生じている

適切な採用計画を定められていない

採用はコスト・時期・人員などあらゆる状況を考慮して計画を立てる必要があります。

採用人数やターゲットに応じた適切なコストを設定できているのか、時期や期間は適切なのか、採用にリソースをかける人員は充足しているのかなど、無理・無駄のない採用計画は採用を成功に導くためには欠かせません。

また中途採用で成果を挙げるためには、都度の軌道修正も大切です。
計画が立てっぱなしになっていないか、今一度見直しましょう。

選考期間・回数は適切ではない

入社後のミスマッチを防ぐことを目的に、必要以上に面接回数を重ねるのは得策ではありません。また応募者を比較したいが故に、面接日から次のフェーズの案内が遅くなってしまうのも選考辞退や入社意欲減退に繋がってしまいます。

株式会社マイナビ『中途採用状況調査2022年版』によると、中途採用活動における応募から応諾までの日数・面接回数は以下の通りとなっています。

WEB面接対面での面接
応募~面接11.7日
12.7日
1次面接~内定10.6日
※面接回数:2.7回
9.5日
※面接回数:2.4回

参考:株式会社マイナビ『中途採用状況調査2022年版』

WEBに関しては一次面接から内定を出すまでにかかる平均日数が10. 6日と、過去最短になっています。この背景にはWEB面接の定着はもちろん、選考期間を長く設けると応募者の興味が他社に移りかねないなどの考えが根底にあります。

採用する職種やポジションにもよりますが、自社の選考期間・回数が平均値を上回るようであれば、選考プロセスの見直しが必要かもしれません。

募集時期にズレが生じている

中途採用の通年採用が一般化したこともあり、応募時期に対する感度が低くなっているケースもあります。

下記データからは、新規求職者が増える時期は4月であることが見て取れます。反対に新規求職者が減るのは12月です。

参考:パーソルキャリア株式会社 doda『中途採用法人向け採用成功ガイド』

また新規求人数の申込が増える時期は10月と1月です。反対に新規求人の申し込みが落ち着く時期は、5月と12月です。
これらのデータをもとに募集時期がズレている場合は、募集の時期を一度見直してみましょう。

とは言え、中途採用の応募が活発な時期は応募が集まりやすい傾向にありますが、一方で採用競合とバッティングする可能性もはらんでいます。
応募者の増える時期、もしくは採用競合の少ない時期どちらにコストや人員を投下するかを見定めることも大切です。

また募集時期に応じて採用手法や選考フローを柔軟に変えていくことも意識してみると良いでしょう。

採用コンセプトの定義があいまいになっている

応募者に企業ビジョンや経営者の想いをきちんと伝えるためにも、採用コンセプトを定義し、一貫性のある採用活動を意識しましょう。

採用ホームページや説明会のコンテンツ、面接官の印象が統一されていない場合、どのような方向性・スタンスの企業なのかあやふやになってしまいます。
このように採用コンセプトの一貫性に欠けることで企業への信頼が低下し、応募者が離脱してしまうケースは珍しくありません。

媒体選定・採用手法にミスマッチが生じている

求職者との接点となる媒体や応募に導く採用手法にミスマッチが生じていると、期待できる効果が得られません。
自社の求めるターゲットと接点機会を多く持てる媒体を選定できているのか、応募者に興味を抱いてもらえるような採用手法を実施できているのか見直してみましょう。

多様な媒体が展開されている中途採用においては、職種・業種・年齢層・採用後のポジションなどを加味して媒体選定を行う必要があります。コスト・手間などの兼合いはありますが、求職者目線を意識することを忘れないようにしましょう。

また一昔前と比較し採用手法も多岐に渡るようになりました。
従来の人材紹介・広告媒体だけに頼らず、リファラル採用やダイレクトリクルーティングなど新しいもしくはこれまで取り入れていない採用手法を活用していくことも、状況に応じて検討しましょう。

中途採用に向けて取るべきアクション

では中途採用成功に向けてどのような行動をすべきか、本項目では課題から必要とされる具体的な手段をご紹介します。
しかし自社の課題を明確にしたとは言え、どのようなアクションをすれば良いのか分からず従来の採用活動に収まってしまい、改善アクションが行えていないケースもあるでしょう。

本項目で紹介する次の手段・施策を参考に、自社で実施できそうな取り組みから順次取り入れてみてください。

  • 採用計画を見直す
  • 適切な媒体・採用手法の選定
  • 人事リソースを見直す
  • 採用支援サービスを活用する

採用計画を見直す

前項目で紹介した課題に該当する場合や新たな課題が見つかった場合は、課題に対しピンポイントな改善を実施するのではなく、採用計画全体を見直す必要があります。

採用計画は事業戦略と方向性を統一しつつ、次のような計画を立てましょう。

  • 事業戦略の方向性を確認する
  • 採用予算の決定
  • ターゲットの策定
  • 雇用形態と採用人数の策定
  • 採用手法・採用媒体の選定
  • 採用スケジュールの決定

また採用計画を立てた後は、いつまでに何をすべきかも可視化しておく必要があります。
選考期間や回数、募集時期も見直した上で採用スケジュールに落とし込みましょう。
さらに採用では、思わぬ選考辞退・退職・復職・優秀人材獲得なども発生し得ます。状況に応じて都度計画の修正を行うことも忘れてはなりません。

採用計画を策定する際は、同時に採用コンセプトの設定も行いましょう。
どの媒体・採用手法を活用したとしても、企業ビジョンや経営者の想いが伝わる一貫性のあるコンテンツの掲載を意識するようにしましょう。

適切な媒体・採用手法の選定

求職者も時代や転職目的・希望の職種・業種に応じ応募媒体を使い分けています。企業側も求職者のニーズを汲んだ媒体・採用手法の選定を行いましょう。

先述の通り媒体選定・採用手法を適切に選定できていなければ、どんなにコスト・人員リソースを投下しても採用成功には繋がりません。
もし長年同じ媒体や採用手法だけで中途採用を進めている場合、時代にそぐわなくなっているのかもしれません。

人事リソースを見直す

内部体制にも目を向け、適切な体制下で採用業務が推進されているのか見直し最適リソースを差配しましょう。

特に労務と兼任していたり、新卒採用も担っているなど、人事担当者のリソースが不足している場合、例え適切な採用計画の立案や媒体・手法選定ができたとしても期待通りの成果を残せない可能性があります。

採用支援サービスを活用する

外部サービスを活用するのも、効果的に中途採用を進めるための1つの手段です。

例え採用活動の見直しや改善に動き出したとしても、採用知見がない故に適切な媒体選定が出来ない、人手が足りず採用計画に則った採用活動の実現が難しいケースもあるでしょう。

そんな時は、採用支援サービスを導入し、中途採用への課題に向けた改善策や手段を提案してもらうのも1つの方法です。

中途採用が難しいと言われる理由・改善ポイントまとめ

中途採用が難しいと言われている理由は、主に次の3つです。

採用競争の激化
経験者・優秀人材の転職市場への流出頻度の低さ
採用期間の短さ

さらに自社の課題が絡み合い、複雑化しています。
中途採用を成功させるためには、中途採用の難易度が高まっている上記背景を理解し、さらに自社の課題を洗い出すことが先決です。

しかし一方で、課題が明確であったとしてもリソース不足から望む解決策・改善策を実行できない企業も多いかと思います。
そのような場合は、採用代行を活用するのも1つの手です。
採用ノウハウ不足や人手不足など自社の課題・状況に応じ、採用のプロが採用を支援してくれます。

本記事で紹介している通り、多くの企業が中途採用に苦戦しています。
課題を見つけ改善に努めると同時に、多様な採用サービスを活用することも中途採用成功の1歩となるでしょう。