中途採用で母集団形成に苦戦する理由とは?6つの主要手法と母集団形成のコツを解説

母集団形成は採用活動における基盤であり、闇雲に人を集めれば良いというわけではありません。

適切な母集団を形成できなければ、自社の求める人材の採用は困難です。さらに母集団の質や集まった人材によっては、入社後のミスマッチや早期離職に繋がることもあります。

『母集団形成は採用活動において重要だ』という認識はあるものの、売り手市場下において母集団形成に苦戦している企業・人事担当者様も少なくないでしょう。

そこで今回は、中途採用の母集団形成に苦戦する企業・人事担当者様に向けて母集団形成に苦戦する理由や母集団形成のコツ、中途採用における母集団形成の主要手法をお伝えします。

  • 中途採用に有効な母集団形成方法を知りたい
  • なぜ母集団形成が上手くいかないのか分からない
  • 母集団形成のコツを知りたい

上記のようなお悩みを持つ企業・人事担当者様はぜひご一読ください。

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母集団形成の手順

母集団形成がうまくいかない原因の1つに、手順に則って母集団形成を進めていないケースが考えられます。
まずは自社の母集団形成が抜け漏れなく手順通り進められているのか、確認してみましょう。

一般的な母集団形成の手順は次の通りです。

  1. 採用計画の立案
  2. 採用ターゲットの策定
  3. 採用手法の検討
  4. 募集の開始

1.採用計画の立案

母集団形成を進めるにあたり、綿密な採用計画の策定は不可欠です。
特に中途採用は新卒採用とは違い、組織や事業の状況に応じて採用人数やポジション、求めるレベルも異なります。 また突然の退社に伴い、早急な人員補填を求められることもあるでしょう。

自社の事業戦略や予定配属先のニーズに応じ、いつまでにどれくらいの母集団形成が必要なのかを逆算します。

さらに円滑に母集団形成を推進するためには、中途採用市場や採用競合の動向を把握・想定しておくことも重要です。
競合の動向調査では「仕事内容や働き方」「給与や待遇」などの募集条件を自社と比較することはもちろん、どのようなメッセージを発信しているのか、どのような採用コンセプトを軸に採用活動を進めているのかも調べてみると良いでしょう。

2.採用ターゲット・ペルソナの策定

自社の求める人材を採用するためには、採用ターゲットを明確にする必要があります。いくら人数的に十分な母集団を形成できても、ミスマッチが生じる可能性の高い人材ばかりでは有効な母集団とは言えません。 つまり、母集団形成の段階で求める能力を持つ人材を集めておかなければなりません。

採用ターゲットを定める際は、「MUST(必須)条件」と「WANT(希望)条件」に分けて求める人材を明確化しましょう。 採用するにあたって能力の高い人材を求めるのはもっともですが、全ての希望にマッチする人材に巡り合うことは非常に稀です。
予定配属先のメンバーとすり合わせながら、採用ターゲットを定めていきましょう。

採用ターゲットの条件が絞り込まれた後は、ペルソナとなる人物像を設定しましょう。ペルソナを設定することで、どんな媒体や手法を使用すればペルソナに近い人物から応募を募れるようになるのかイメージしやすくなります。 また「キャリアアップがしたい」「技術力を活かしたい」など志向性に訴えかける採用も実現しやすくなります。

3.採用手法の検討

後にも詳しく紹介しますが、中途採用と一口に言っても採用手法は多岐に渡ります。
また各手法に用いられるツールや媒体も多様化しているため、自社のニーズにマッチした採用手法や媒体・ツールを選ぶ必要があります。

一昔前であれば人材紹介や求人広告媒体への掲載が一般的だった中途採用ですが、近年はこれらの手法だけで採用を成功させるのは困難になりつつあります。

自社の求める人材に応じて、用いる採用手法を見直すか新たな採用手法を取り入れながら採用活動を進めていきましょう。

4.募集の開始

採用手法が定まった後は、募集の開始です。
しかし準備が整い次第、無計画に応募を開始するのは得策ではありません。
中途採用市場では、応募や求人が活発な時期と落ち着く時期があります。

新規求職者が増える3月4月は応募が集まりやすい傾向にありますが、採用競合が増える時期でもあります。
自社のブランド力や自社ならではの強みがあるか否かを検討した上で、募集時期を判断しましょう。

参考:パーソルキャリア株式会社 doda『中途採用法人向け採用成功ガイド』

母集団形成に苦戦する理由

上記で紹介した手順通りに母集団形成を進めたとしても、「思うような母集団が形成できない」と悩む人事ご担当者様は少なくありません。
続けて母集団形成に苦戦する理由を、『量』と『質』の2つのパターンに分けてお伝えします。

母集団の量(数)が足りない

母集団の量(数)が足りていない場合、次の3つの取り組みが不十分である可能性が考えられます。

  • 求職者へのニーズ訴求
  • 採用コンセプトを軸にした企業イメージの訴求
  • 市場における企業認知度・ブランド力の向上

<求職者へのニーズ訴求>

求職者が応募に至るまでの経緯では、求職者ニーズを理解し求職者が求める魅力をアピールする必要があります。
「給料アップ」「人間関係」「未経験歓迎」など求職者のニーズは、採用職種やポジションによって異なりますが、自社の設定したペルソナから想定される行動パターンや関心ごとから求職者の応募意欲を訴求する情報を求人原稿やスカウトメールに盛り込みましょう。

<採用コンセプトを軸にした企業イメージの訴求>

さらに採用コンセプトが曖昧になってしまっている場合、求職者が企業イメージを抱きにくくなり、応募を見送る要因となります。
求人原稿やスカウトメールと企業ホームページの内容に統一性があるか、また社員インタビューを掲載している場合、採用コンセプトに沿ったインタビュー内容なのかを見直してみましょう。

特に次の5つの項目については、一貫性のある内容に統一しましょう。

  • どんな人物を求めているのか
  • どんなスキルを活かせるのか
  • どんなメンバーが活躍しているのか
  • 事業の方向性
  • 代表や企業のビジョン 

可能であれば文字だけではなく、写真や動画などを用いて視覚や聴覚からもアピールすると良いでしょう。
情報量が多いほど求職者は入社後のイメージを抱きやすくなり、応募意欲が高まります。

<市場における企業認知度・ブランド力の向上>

企業の認知度は、母集団形成の成否を大きく左右します。
市場における企業の認知度が低い場合、母集団形成に苦戦する傾向が見られます。

認知度が低い状態で採用活動を進めても他企業の情報に埋もれ、求職者に十分なアピールができていないことも考えられます。
十分な母集団数を確保できていない場合は、自社の認知度やブランド力向上に向けて積極的な情報発信に努めましょう。

母集団の質が低い・ミスマッチが生じている

母集団の質が低い・ミスマッチが生じていると感じる主な原因は、理想ばかりを追い求めたペルソナ設定と応募条件のズレにあります。

「求める人物像の理想が高く、応募や選考に結び付かない。」「母集団の人数は充足しているが、自社の求める人物像と異なる人からの応募ばかり。」そのような経験をされたことはないでしょうか?

母集団の質が低い・ミスマッチを感じる場合は、ペルソナと応募資格を見直す必要があります。
その際に自社の理想論ばかりになっていないか、正しい基準値をもとに募集条件を提示できているか、それぞれ求職者の視点に立ち再考してみましょう。

中途採用の母集団形成のコツ

中途採用の母集団形成のコツは、次の4つです。

  • 採用ターゲットに合った採用手法・媒体を選定する
  • 応募者接点を増やす
  • ペルソナの見直す
  • 定期的な効果検証を行う

採用ターゲットに合った採用手法・媒体を選定する

ターゲットに応じた採用手法の活用やターゲット層の登録が多い媒体の選定は、母集団形成において重要なポイントです。
特性を考慮し、ターゲット層に合った手法や媒体を選びましょう。

さらに採用ターゲットと直接接点を持てる転職イベントへの出展やSNSツール等の活用など、自社の認知や採用実施の周知を広げる取り組みも効果的です。

応募者接点を増やす

現場社員と協同し、応募者と接点を持ち続ける取り組みも大切です。
せっかく有効な母集団形成に成功したとしても、長期に渡り接触機会を作らず母集団を放置してしまうと、他社に流れてしまうリスクが高まります。

人事担当者だけでは、完璧なフォローが難しいケースもあるでしょう。採用後に同じチームとなる可能性のある社員との面談や、役員とのコミュニケーション機会を設けてみるのも施策の1つです。

またチャットツールなどでこまめに連絡を取るのも有効です。
対面や個別に時間を設けての接触機会の捻出が厳しい場合は、応募者とのこまめかつ迅速な連絡を心がけてみてください。

ペルソナの見直す

ペルソナは『一度設定すればよい』というものではありません。
目標とする採用が実現するまで、母集団の質や中途採用市場に応じて都度見直しが必要です。
転職市場の動向や市場トレンド・採用競合企業の動きを把握した上で、ペルソナを見直しましょう。

見直しの際は、採用競合企業がどのような募集条件や打ち出しをしているのかを参考にするのもおすすめです。

定期的な効果検証を行う

定期的な効果検証も有効な母集団を形成する上で欠かせない作業です。
次のようなデータを集め、定期的に分析してみましょう。

  • どの媒体からの応募者が一番理想(ペルソナ)に近かったか?
  • どの媒体が一番応募者を募ったのか?
  • どの媒体が一番多く選考に繋がった媒体は何か?
  • 応募者から高い評価を得た施策は何か?

効果検証に時間を割けない企業・人事担当者様も多いかと思います。また効果検証の方法が分からないというお悩みも少なくありません。
そのような場合は、採用支援サービスを利用するのも良いでしょう。
効果検証はもちろん、今後の母集団形成における有効なアドバイスも受けられるでしょう。

中途採用における6つの主要な母集団形成手法

最後に中途採用における、主要な母集団形成手法をご紹介します。

「流行の手法」=「自社における有効手法」であるとは限りません。
自社の目指す母集団を形成するためには、各手法の特性を理解することが肝要です。

<中途採用における、主要な母集団形成手法>

  • 転職サイト
  • ダイレクトリクルーティング
  • 人材紹介
  • 転職イベント
  • SNS採用(ソーシャルリクルーティング)
  • リファラル採用

転職サイト

出典:求人情報・転職サイトdoda(デューダ)

中途採用において最も一般的な母集団形成手法です。
幅広い求職者に自社の採用活動を認知してもらえる一方で、応募を待つ受け身スタイルの手法です。
どの転職サイトでも計画的に運用しないと、他の企業の求人に埋もれてしまう可能性があります。
「求人の広告」であることを意識し、上位表示のオプションなども併用し戦略的に運用していくことがポイントです。

メリット・幅広い求職者に自社の採用活動を周知できる
・採用担当者の労力・工数を減らすことができる
デメリット・ミスマッチ人材からの応募もあるため、応募者のスクリーニングが必要
・掲載している企業数が多く、自社の求人情報が埋もれやすい
効果的な活用方法・求人の広告であることを意識し、採用競合との差別化を図れる内容を原稿に盛り込む
・課金オプションなどを活用し、戦略的に運用する
主要媒体doda(デューダ)
マイナビ転職
エン転職
リクナビNEXT

ダイレクトリクルーティング

出典:BizReach(ビズリーチ)

ダイレクトリクルーティングは求人広告媒体や人材紹介と並び、近年急速に導入する企業を増やしている母集団形成手法です。

従来の求人広告媒体や人材紹介と大きく違う点は、第三者を介さず直接求職者に対しアピールを行う能動性が求められる手法であることです。
また潜在的な転職層にアプローチができる点もダイレクトリクルーティングの大きな特徴です。

事前にアプローチするターゲットを定めることができるため、応募者のスクリーニングも大きな負担にはならないでしょう。
しかし一方でスカウト要素の強いダイレクトリクルーティングは、応募者のレジュメ(プロフィール)に合わせて1通ごとにスカウト文を作成する必要があり、工数がかかると感じることもあるでしょう。

メリット・潜在的な転職層にもアプローチできる
・求職者は企業の魅力や方向性に共感した上でエントリーするため、採用後のミスマッチが少ない
・採用力やブランド力に懸念がある企業でも、打ち出し次第で他社と差別化を図ることができる
デメリット・運用工数がかかる
・ノウハウやナレッジ蓄積まで時間がかかり、効果的な運用まで多くの時間を要するケースがある
効果的な活用方法・トライ&エラーを繰り返し、絶えずPDCAサイクルをまわし続ける
・運用ノウハウに精通した代行サービスを活用する
主要媒体リクルートダイレクトスカウト
BizReach(ビズリーチ)
Green(グリーン)
Wantedly(ウォンテッドリー)

人材紹介

出典:リクルートエージェント

人材紹介は求人広告媒体と並び、中途採用で多くの企業が利用している母集団形成のための手法です。

転職サイトでは出会えないようなマッチング率の高い求職者と出会える可能性が高い点は、人材紹介ならではのメリットです。
また成功報酬型の料金形態を採用しているケースが多く、リスクが少ない手法でもあります。

しかし一方で人材紹介会社の担当者との綿密なすり合わせが必要です。
認識違いによって全く畑違いの人材を紹介されたというケースは少なくありません。
また人材紹介会社に登録している人材が母数になるため、良質かつ豊富な人材を保有する人材紹介会社を見極める必要があります。

メリット・成功報酬型の場合、低リスクで母集団形成できる
・事前に人材紹介会社が条件を絞り込んでいるため、ある程度ターゲットに近い人材と接点を持てる
デメリット・人材紹介会社との綿密なすり合わせが必要
・良質かつ豊富な人材を保有する人材紹介会社でない場合、ターゲット層の紹介に至らない
効果的な活用方法・良質かつ豊富な人材を保有する人材紹介会社を見極める
・エージェントと採用ターゲットや条件を擦り合わせ、紹介活動をブラックボックス化させない
主要媒体リクルートエージェント
マイナビAGENT
type転職エージェント

人材紹介

出典:マイナビ転職

転職イベントは、求職者と直接接点を持てるため、求職者に対して企業の魅力をダイレクトにアピールできます。
また女性限定・ハイクラス・IT系など、特性に特化した転職イベントも多く開催されています。

しかし近年の売り手市場下においては、出展企業数に対して参加する求職者・転職希望者の数が少なく、思うような効果が得られないこともあるようです。
前年の集客状況や転職動向などの情報から、目的に見合った効果が期待できるイベントなのか、見極める必要があります。

メリット・求職者に対し、自社の魅力を直接アピールできる
・企業認知や知名度向上施策の一環としても活用できる
デメリット・出展企業数と参加する求職者・転職希望者のバランスが釣り合わないこともある
・出展担当者の手腕によって成果が左右される
効果的な活用方法・目的に見合った効果が期待できるイベントなのか見極める
・求職者や転職希望者に対し、自社の魅力を訴求できるようなマーケティング・広報人材を引率する
主要媒体・転職博(Re就活)
・転職フェア(マイナビ転職)
・長く働きたい女性のための転職イベント(女の転職type)
・はじめての転職フェア(リクナビNEXT)

SNS採用(ソーシャルリクルーティング)

SNS採用は、ITリテラシーに精通したZ世代にマッチした手法として、新卒採用では多くの企業で用いられています。
近年、中途採用においても採用広報の代わりや採用周知・自社の情報発信ツールとしてSNS採用が注目されつつあります。

他の採用手法と比較して、直接応募を募ったり求職者の個人情報の取得など困難な点はありますが、採用リンクを貼るなど相互連携を図ることで母集団形成に繋げることができます。

また無料でオリジナル性の高いコンテンツを作れる点もSNS採用の特徴です。
最近では、FacebookやInstagramだけではなく、YouTubeやTikTokなど動画に特化したソーシャルネットワーキングサービスを利用して自社の魅力を発信する企業も増えてきました。

メリット・無料で利用できる
・採用広報や自社の情報発信ツールとして活用できる
・低ハードルで求職者とファースト接点を持てる
デメリット・直接的な応募受付ができない
・定期的な情報更新が必要
効果的な活用方法・SNSの利用目的を明確にし、どのような情報を発信していくのか中長期的な計画を立てる
・情報の更新を途切れさせず、常に求職者視点の情報発信を意識する
主要媒体・Facebook
・Instagram
・YouTube
・TikTok
・Twitter
・LinkedIn
・note など

リファラル採用

リファラル採用とは在籍従業員からの紹介で母集団形成を行う手法です。
すでに自社で活躍している在籍の社員からの紹介のため、高いマッチング率や定着率が期待できます。また他の手法と比較して、コストを大幅に抑えることができるため、高い費用対効果が見込めます。

しかし入社後の人員配置に配慮しないと、組織内でグループ対立が起きてしまったり紹介者の退職に伴い被紹介者も退職してしまうという弊害も考えられます。

またリファラル採用は、従業員の協力なくしては運用できない方法です。
従業員への関心を高め、一丸となって採用に取り組む組織創りが求められます。

メリット・費用対効果が高い
・高いマッチング率や定着率が期待できる
デメリット・組織内でグループ化してしまう懸念がある
・紹介者の退職に伴い被紹介者も退職してしまう可能性がある
効果的な活用方法・従業員の協力を仰げるよう、一丸となって採用に取り組む体制を整える
・求める人材の認識ズレを起こさないよう、定期的にペルソナを共有する

中途採用の母集団形成 まとめ

有効な母集団形成は、採用を成功させるために不可欠な要素です。
母集団形成に苦心されている企業・人事ご担当者様は、まず母集団形成がうまく進まない理由を分析し、課題を洗い出してみましょう。そして自社の課題を解決に導く手法を導入したり、本記事で紹介したコツを参考に新たな施策を打ち出してみてください。

もし思うような成果が表れないときは、アプローチの方法や方向性に誤りやズレが生じていないかを都度見直しながら、成果を出せる方法を模索していくと良いでしょう。

中途採用の母集団形成についてはこちらの記事でも詳しく解説されています。合わせてご確認ください。(外部リンク)
https://directsourcing-lab.com/blog/recruiting_knowledge/population_formation/