採用競争が激化する中途採用市場において、従来の求人情報サイトへの求人掲載や人材紹介などの“待ちの採用手法”では、優秀な人材の採用は難しくなりつつあります。
そこで近年注目を集めているのがスカウト採用(ダイレクトリクルーティング)です。
スカウト採用は、企業自ら候補者に直接スカウトメールを送り、自社の魅力をアピールする手法です。
スカウト採用が一般化する中で日々の運用は定着させることができたが、データを用いたデータドリブンな運用は実現できていない企業・人事ご担当者様も多いのではないでしょうか。
スカウトメールを用いた採用は、常にデータを基にPDCAを回し、運用方法や施策をブラッシュアップしていかなければ期待する成果は得られません。
そこで今回は、これまで150社以上の採用をサポートしてきた筆者が、スカウト分析を行うメリットや数値の計算法を解説します。さらに多くの企業の採用を支援してきた中で多かったご相談・お悩みの他、おすすめの分析手法などもお伝えします。
- 応募以降の歩留まりの分析はできているものの、スカウトに関する分析ができない
- データ分析を行い、より効果的なスカウト採用の運用に取り組みたい
- どんな分析方法があるのか知りたい
上記に該当する、企業・人事ご担当者様はぜひご一読ください。
スカウト分析を行うメリット
まずは、スカウト分析を行うメリットを紹介します。
送付したスカウトや、スカウトに紐づく数字分析することで、次のようなメリットが得られます。
- 媒体ごとの効果を測定・比較できる
- 施策の見直しができる
上記メリットの他にも、採用業務の効率化・コスト削減・優秀な人材の獲得などの効果も表れてくるでしょう。
媒体ごとの効果を測定・比較できる
各スカウト媒体のスカウトを分析することで、媒体ごとの効果を測定したりデータをもとに比較できるようになります。
媒体ごとの効果を測定する際は、次の数字をもとにデータ比較に取り組みましょう。
- スカウトを送付できる候補者の数
- 開封率
- 返信率
- エントリー率
- 書類選考通過率 など
スカウトを送付できる候補者の数は、直近ログイン率・属性情報・経歴などを加味して、スカウトを送付したいターゲットがどれぐらいいるか把握しましょう。
同じ条件のターゲットに対して同一数のスカウトを送付し、開封率・返信率・エントリー率を測定します。
一見すると登録者が多い媒体も、自社のターゲット条件に該当する候補者に絞ると、スカウトを送付できる候補者の数が極端に少なくなってしまうケースも珍しくありません。またターゲットとなる候補者の数は多いもののエントリー率が低いという場合もあるでしょう。
さらには、ターゲット対象も充足しておりエントリー率も高いけれども、書類選考通過率が低い(採用したいと思える人材が少ない)媒体もあります。
1つひとつの数字を紐解き効果を検証することで、自社にとって効果の高い媒体が見えてくるでしょう。高い効果を見込める媒体に絞ることで、経費削減や効率性の向上も期待できます。
施策の見直しができる
またデータ分析により、1つひとつの数字が可視化されるため、戦略の見直しができるようになります。
<スカウト開封率が低い場合>
要因
・ランクの低いスカウトのため、特別感を感じられない
・開封前に表示されるタイトル(もしくは冒頭文)に魅力を感じない
・他社のスカウトに埋もれてしまっている
対策
・スカウトのランクを上げる
・候補者の目に留まるキャッチーなタイトルに変更する
・リマインドを送る
<スカウト返信率が低い場合>
要因
・スカウト内容に魅力を感じない
・ネクストアクションが不明瞭
対策
・スカウト文の見直しを行う
・スカウトを読んだ後の次のアクションを明記する
<スカウト開封後のエントリー率が低い場合>
要因
・希望とアンマッチなスカウトだった
・応募後の選考プロセスが不明瞭
・どんな企業か分かりにくい
対策
・ターゲットを見直す
・スカウト文にエントリーへの誘導文や一次選考の案内を記載する
・スカウト文に企業魅力や社員インタビューURLを追記する
スカウト採用におけるデータ分析の項目と計算式
スカウト採用のデータを分析する際は、次の6つの項目に注目しましょう。
- 開封率
- 開封後閲覧率
- 求人閲覧後返信率
- 開封後エントリー率
- 返信率
- エントリー率
データ分析の項目と計算式
各項目をどのように計算するのか、また各数値が表す内容を表にまとめています。
項目 | 計算式 | 数値の意味 |
---|---|---|
開封率 | 開封数÷(総送信数ー未配信数)×100 | 送付スカウトのうち、 開封されたスカウト数の割合 |
開封後閲覧率 | 求人閲覧数÷スカウト開封数×100 | 開封されたスカウトのうち、 求人閲覧に繋がったスカウトの割合 |
求人閲覧後返信率 | 返信数÷求人閲覧数×100 | 求人閲覧に繋がったスカウトのうち、 返信があったスカウトの割合 |
開封後エントリー率 | エントリー数÷スカウト開封数×100 | 開封されたスカウトのうち、 エントリーに繋がったスカウトの割合 |
返信率 | 返信数÷(総送信数ー未配信数)×100 | 送信スカウトのうち、 返信に繋がったスカウトの割合 |
エントリー率 | エントリー数÷(総送信数ー未配信数)×100 | 送信スカウトのうち、 エントリーに繋がったスカウトの割合 |
(※)未配信数:退会などで配信できなかったスカウトの数
データ分析項目の計算例
続いて、具体的な計算例を紹介します。
<スカウト配信例:100通のスカウト送信した場合>
・未着(退会済等):3通
・開封済スカウト:60通
・閲覧済スカウト:30通
・返信があったスカウト:10通
・エントリーにまで至ったスカウト:5通
上記スカウト配信例に則り、各計算式に当てはめた式・率が下記となります。
項目 | 計算式 | 数値 |
---|---|---|
開封率 | 60÷(100-3)×100 | 61.9% |
開封後閲覧率 | 30÷60×100 | 50% |
求人閲覧後返信率 | 10÷30×100 | 33.3% |
開封後エントリー率 | 5÷60×100 | 8.3% |
返信率 | 10÷(100-3)×100 | 10.3% |
エントリー率 | 5÷(100-3)×100 | 5.2% |
(※)小数点第二位は四捨五入で計算
これからデータ分析に取り組む企業・人事ご担当者様は、まず開封率とエントリー率に注目しましょう。
指標の改善のためには、採用競合と比較して魅力的なオファー文を作成できているか見直しが必要です。さらにターゲットや求人情報も見直し、反応の良い内容へとブラッシュアップしていきましょう。
スカウト分析をする際の課題
筆者が採用を支援してきた企業様からは、スカウト採用のデータ分析について次のようなご相談や悩みを多くいただきました。
- 媒体が複数あり横断的に分析できない
- 配信担当が複数おり、適正なデータ管理ができない
- 募集職種が複数あり、分析に時間と工数がかかる
スカウト分析は、継続した測定が欠かせません。まずはどのような課題が考えられるのか把握しましょう。その上で事前に想定される懸念への対策を立てておく必要があります。
また既にスカウト分析を行っており何らかの課題を感じている企業・人事ご担当者様は、改善に取り組みデータドリブンな運用を実現できるよう改善に取り組みましょう。
媒体が複数あり横断的に分析できない
各スカウト媒体のデータ分析に取り組みたいと思っても、項目が異なっていたりデータ抽出できる項目が決まっていたりと横断的な分析ができないと悩む人事ご担当者様も多くいらっしゃいました。
さらに正確な数値にたどり着けず、結局感覚や経験に頼る運用になってしまっている企業も散見されます。
媒体ごとの変数要因を加味して数値を出すのも1つの方法です。しかし必要以上に工数がかかってしまったり、属人性が高い作業になる懸念も考えられます。
データ分析を得意とする人材がいない場合、外部に委託するか、データ分析ツールを導入することをおすすめします。
配信担当が複数おり、適正なデータ管理ができない
近年は、現場のメンバーも含めスカウト採用に取り組む企業も増えてきました。作業工数が分散されるため、人事担当者の負担が軽減される一方で、データ管理が煩雑化してしまいます。
データは同じ条件下で常に最新の情報を収集していく必要があります。
データ分析期間中に配信対象が変わる・使用するスカウトメールが変更になるなど、大きく数字が変動する可能性のある行為が発生しないよう、配信においてルールを定めておく必要があります。
募集職種が複数あり、分析に時間と工数がかかる
募集職種が複数あり、分析に時間と工数がかかるのもよく聞かれる課題です。
採用に苦戦している職種や優先順位の高い職種からデータ分析を行うのがセオリーですが、平行して複数の効果を検証したい時もあるでしょう。
すぐにでもデータを分析し運用に落とし込みたい場合は、採用版BIツールの利用をおすすめします。複数の職種採用を行っている場合でも、ツール1つで同時にデータ分析を行うことができるでしょう。
スカウト分析手法と各手法のメリット・デメリット
続いて、メリット・デメリットを交えながらスカウト分析の手法を紹介します。
採用領域におけるスカウト分析の主な方法は、次の通りです。
- スカウト媒体のレポートページを見る
- Excel・PowerPoint等で分析する
- 採⽤版BIツールを利用する
いずれもメリット・デメリットがあるため、自社にマッチする手法を選択しましょう。
スカウト媒体のレポートページを見る
スカウト媒体の多くは、レポートページや分析ページが搭載されています。媒体のレポート・分析ページを用いてデータ分析するのも1つの方法です。
データ分析ツールや別途Excelなどの管理シートを作成しなくても、データを分析できます。
参考までに、下記はWantedlyのデータ分析ページ(アナリティクス)です。
ボタン1つで利用媒体のデータが可視化できるため、スカウト文章のABテストやターゲットのABテストをする際は有効性を発揮しやすいでしょう。
一方で媒体ごとに表示される項目や抽出できる期間が異なります。そのため、媒体間の比較が難しいと感じることも多々あります。
Excel・PowerPoint等で分析する
媒体間の比較を行いたい場合は、Excel・PowerPoint等を用いる方法もあります。
アイティメディア株式会社が運営する会員制の企業向けIT製品情報サイト『キーマンズネット』によると、調査対象となった企業のうち98.5%がExcelを利用している結果になりました。
操作性・利便性に加え普及率からもExcelでのデータ管理は、有用性が高いツールのように思われます。また追加費用がかからない点も、メリットと言えるでしょう。
しかしデータ分析したい内容や情報によってはExcelでは対応が難しいこともあるでしょう。また意図せずエラー値が出てしまった場合、原因を究明するために多くの時間を要する事態も考えられます。結果的に使えない管理シートになってしまったり、関数やマクロに長けた人だけが行える属人性が高いタスクになってしまう懸念もあります。
採⽤版BIツールを利用する
BIツールとは、データを経営や業務の判断材料に使えるよう分析し、数値化するツールです。
採用手法・採用職種・媒体等の多様化に伴いチャネル数やデータ量が増え続ける中で、採用に特化したBIツールが提供されるようになりました。
採用ツールを利用すると、さまざまな指標分析を行うことができ、採用業務の効率化・コスト削減につなげることができます。
スカウト採用においては、媒体のパフォーマンス比較や職種・性別などの属性分析、スカウトタイトル・スカウト文などのA/Bテスト分析などの分析ができます。
一定の費用がかかるものの、媒体を横断した分析ができる点が魅力です。さらに感覚的に操作できるツールも多く、スキルや知識に左右されず誰でも操作できる点もメリットと言えるでしょう。
『スカウト分析の時間を”ゼロ秒”』にしてくれるおすすめ分析ツール
本項目では、スカウトデータ分析におすすめのツールとして『SCOUTS(https://ichigu.co.jp/scouts/)』を紹介します。
採用に特化したBIツールはたくさんあります。
しかし有効性を発揮できる細かい分析を行うためには、スカウト採用に特化したツールの導入をおすすめします。
SCOUTSの特徴
SCOUTSは、イチグウ株式会社が提供する採用サポートサービスです。
データ分析に必要なスカウトデータを集計し、人事担当者がデータから『次の一手』を考える環境づくりをサポートします。
媒体ごとのデータをSCOUTSで一元管理できるため、手作業でデータを掻き集める必要はありません。そのためすぐにデータの確認や効果改善に取り組めます。
SCOUTSで導き出したデータ・数値は、採用戦略の立案や施策の変更などの判断材料になるでしょう。データに基づいた運用ができるようになるため、効率の追求と効果最大化を期待できる採用活動につながります。
SCOUTSでできること
SCOUTSでは、次のような取り組みが可能になります。
- 日々の進捗管理
- スカウトの改善
- 資料用データの取得
<日々の進捗管理>
過去のスカウトデータが自動的に集計されたひと目で分かるダッシュボードでは、スカウト配信の目標達成に向けた各媒体の動きがひと目で把握できます。
♦データ集計の工数削減に寄与
✔SCOUTSを導入したことで複数媒体を一元管理できるようになった
✔求人別送信数だが把握できるようになった
<スカウトの改善>
またSCOUTSでは日別だけでなく、ウィクリー別で区切ったダッシュボードも用意しています。定量的なデータを取り扱うことで、施策の振り返りや分析をすぐに始められます。
即時PDCAを回すことができるため、スピード感のある改善につながるでしょう。
♦ダイレクトリクルーティングの課題発見率向上に寄与
✔スカウト文面別による返信率の差異を発見できた
♦返信率向上に寄与
✔スカウトごとのABテストを容易にできるようになった
<資料用データの取得>
「スカウト履歴」には、過去の送信数と応募数が一覧表としてまとまっています。各媒体にアクセスして結果をダウンロードする必要はありません。
さらにSCOUTSに表示されているデータはワンクリックでお手元の表計算ソフトにコピーできます。そのため独自の分析や仮説検証等もすぐに始められるでしょう。
各媒体へのログイン、データを抽出しエクセルに貼り付けるなど、データ管理の手間を限りなく省きます。
SCOUTSを使えば、あらゆる媒体の様々な指標を分析できます。各媒体に登録している候補者にマッチする最適なスカウト文面やタイトル、送付タイミングが可視化されていくでしょう。
採用激化が進む中途採用において、これからのスカウト採用は”データドリブン”が必要不可欠です。データに基づいた運用を行うことで、自社のスカウトデータやノウハウを”採用資産”にすることができるでしょう。
「データ分析に取り掛かるまで工数がかかりすぎている」「データを基に定量的な施策の実行・振り返りができていない」などのお悩みを持つ企業・人事ご担当者様は、ぜひSCOUTSの活用を検討してみてください。
スカウト採用のデータ分析メリットと分析手法 まとめ
売り手市場が続く中途採用において、データに基づいた戦略的な採用活動は、もはや不可欠と言えるでしょう。
そんな中スカウト採用も同様にデータに基づく効果的な運用が求められるようになりました。
Excelやスカウト媒体のレポートページを用いてデータ分析を行うのも1つの方法です。しかしより効果の高いデータ分析を行うためには、スカウト採用に特化したデータ分析ツールの導入がおすすめです。
SCOUTSのご活用・導入について、ご興味をお持ちの企業・人事ご担当者様は、『お申込み・お問い合わせ』『資料請求』の各リンク先よりお問い合わせください。