スカウト代行と人材紹介どちらも人材獲得競争が激化する採用市場において、有効な外部サービスの1つです。しかし両者の違いやメリット・デメリットをしっかり理解した上で利用・使い分けをしないと、本来期待できるはずの成果を得られなくなってしまう可能性があります。
本記事では採用に悩む企業・人事ご担当者様に向けてスカウト代行と人材紹介の違いや各サービスのメリット・デメリット、ニーズに応じた使い分けのポイントをお伝えします。
- スカウト代行と人材紹介どちらのサービスが自社にマッチしているか分からない
- スカウト代行と人材紹介の違いとそれぞれの強みを知りたい
- 作業工数を減らすだけではなく、採用にまつわるナレッジを得たい
上記のようなお悩みを持つ企業・人事ご担当者様は、ご一読ください!
スカウト代行と人材紹介それぞれの特徴
スカウト代行と人材紹介のそれぞれの特徴を解説します。
スカウト代行の特徴
スカウト代行は、手法の特性上、次のような強みを持ちます。
- 母集団となり得る潜在候補者にも広くアピールできる
- 自社の需要にマッチした人材を人数限定せず採用できる
- 共感型採用ができる
- 知名度やブランド力の乏しい企業も自社を知ってもらう機会をつくれる
これらの強みを自社の採用に取り入れたいと考える企業は、スカウト代行を利用することで大きな効果を得られるでしょう。
人材紹介の特徴
人材紹介の特徴は次の3点です。
- 採用に至らなかった場合の費用リスクを低減できる
- 母数の少ない専門性の高い人材をピンポイントで採用できる
- 非公開求人の募集ができる
人材紹介の中には、専門職に特化したサービスもあります。
高い専門知識を必要とする職種や高い能力を必要とするポジションの採用に大きな効果を発揮します。また非公開の求人募集にも有効な手段です。
スカウト代行と人材紹介の違い3つ
スカウト代行と人材紹介、どちらも企業の採用をサポートするサービスです。
しかし両者には大きな違いがあり、それぞれの違いを理解した上で自社の採用課題を解決に導くサービスを選択することが大切です。
スカウト代行と人材紹介の違いは、大きく次の3つが挙げられます。
- サービス業態の違い
- サービス・サポート内容の違い
- 料金システムの違い
サービス業態の違い
スカウト代行は『委託』『代行』などのサービス業態であり、人材紹介は『人材紹介業』に属するサービス業態となります。
スカウト代行は、スカウト採用業務の一部もしくは全てを代行企業に委託できるサービスです。一方で人材紹介は、厚生労働大臣の認可を受けた企業だけが提供できるサービスです。人材紹介会社が独自に集めた求職者リストの中から採用ターゲットにマッチする人材を紹介してくれます。
サービス・サポート内容の違い
業態の違いに伴い、それぞれから受けられるサービス・サポートも異なります。
<スカウト代行で受けられるサービス・サポート>
スカウト代行を利用すると、主に次のようなサービス・サポートを受けられます。
- 採用戦略の立案
- スカウト候補者の選定
- スカウト文の作成
- スカウト配信業務
- 候補者・応募者とのメッセージ対応
- 面談・選考の日程調整
- スカウトデータの分析
- 振り返り など
このように、スカウト代行はスカウト業務にまつわる全般を請け負い、企画立案から内定に至るまでのプロセスを併走する形で支援してくれます。一方でスカウト代行は、スカウト採用経由の内定者と企業の間に入り、入社日の調整や雇用契約条件の調整を行うことはありません。
<人材紹介で受けられるサービス・サポート>
人材紹介では、以下のようなサービス・サポートを受けられます。
- 求人票の作成
- 候補者の選定
- 応募者の募集
- 自社にマッチした人材の紹介
- 入社日・雇用条件の調整 など
人材紹介は、転職希望者と自社の橋渡し役を担ってくれるサービスです。
あくまで自社にマッチする人材を紹介するサービスであり、スカウト代行のように人事に代わり面談調整や内部の採用業務を担ってくれるサービスではありません。
料金システムの違い
スカウト代行の料金システムは、一般的にスカウト通数×単価となります。一方の人材紹介の料金システムは、採用に対する成果報酬型が主流です。
そのためスカウト代行の場合、採用の成否に関わらず代行業務の内容に応じて料金を支払う必要があります。また代行費用に加え採用成功人数ごとに課金が発生するケースもあります。
人材紹介の場合、利用サービスにもよりますが導入時点で費用が発生することはほとんどありません。「内定承諾者1人につき〇万円」「想定年収の〇%」など、内定承諾者の人数や採用成功時の予想年収に応じて料金が決定します。
スカウト代行のメリット・デメリット
スカウト代行も人材紹介もメリットに感じる面と、導入にあたって懸念すべきデメリットがあります。
まずはスカウト代行を利用する際のメリット・デメリットをご紹介します。
スカウト代行を利用する際のメリット
スカウト代行を利用することで得られるメリットは、主に次の3つです。
- スカウト採用にかかる業務を丸ごと委託できる
- 併走型のサポートを受けられる
- 採用資産の蓄積・自社の採用力向上が期待できる
スカウト採用にかかる業務を丸ごと委託できる
スカウト採用業務を丸ごと委託できるスカウト代行は、自社のリソースを最小限に抑えつつ効率的にスカウト採用を推進できるサービスです。
スカウト採用は、採用計画の立案から候補者の選定、1人ひとりにカスタマイズしたスカウト文の作成・送付など多くの工数がかかります。人事業務や他の採用手法と平行しながら、片手間で推進できる採用手法ではありません。
その点スカウト代行を導入することで、人事はコア業務に注力できるようになります。またスカウト採用のプロによる業務推進により、無駄なく効率的にスカウト採用を推進できるでしょう。
併走型のサポートを受けられる
スカウト代行利用のメリットに、併走型のサポートを受けられる点が挙げられます。
自社の採用の強み・弱みを理解してくれるスカウト代行のサービスは、『採用して終わり』ではありません。
「より採用の成功率を高めにはどうしたら良いのか?」
「今回の採用では、何がボトルネックだったのか?」
次の採用をより良いものにするために、併走型サポートで気が付いた改善点をデータを基に分析し、次回に繋がる提案もしてくれます。
採用資産の蓄積・自社の採用力向上が期待できる
スカウト代行で作成されたスカウト文は自社の採用資産として蓄積されていきます。
次回、同職種の採用をする時もプロが試案して作成したオリジナルスカウト文を活用できます。採用媒体に登録されているテンプレートを利用するよりも、効果的なスカウト採用が叶うでしょう。
他にもデータ分析時の着眼点や、媒体を選定する際の比較ポイントなども学ぶことができます。このようにスカウト代行の導入は、自社の採用力向上にも寄与することでしょう。
スカウト代行を利用する際のデメリット
スカウト代行は、「採用業務を委託する」というサービス特性があります。その点をデメリットに感じてしまうケースも起こり得るかもしれません。
スカウト代行を利用する際に懸念しておくべきデメリットは次の2つが挙げられます。
- スカウト採用という一部の採用手法しかアウトソースできない
- 採用成功が約束されているわけではない
スカウト採用という一部の採用手法しかアウトソースできない
スカウト代行は、その名の通りスカウト採用に特化した委託サービスです。採用全般をカバーできるサービスではない点を理解しておきましょう。
しかしスカウト採用に限らず、マルチに採用のサポートを提供しているサービスはたくさんあります。他の採用業務のフォローも希望する場合は、スカウト採用も含めマルチに対応できるサービスを検討すると良いでしょう。
採用成功が約束されているわけではない
スカウト代行を利用したとしても、必ずしも採用の成功が約束されるわけではありません。
スカウト代行に関わる業務そのものに料金がかかるため、多額の料金を支払ったとしても対価に見合わない結果に終わる可能性もあります。
スカウト代行の利用を検討する際は、自社のニーズにマッチした代行企業の選定が不可欠です。
人材紹介のメリット・デメリット
続けて人材紹介を利用する際のメリット・デメリットをご紹介します。
人材紹介を利用する際のメリット
人材紹介の利用時に得られるメリットは次の通り。
- 成功報酬型のため無駄なコストが発生しない
- 非公開求人の採用ができる
- エージェントが自社にマッチした人材をセレクトしてくれる
成功報酬型のため無駄なコストが発生しない
人材紹介は『採用成功』に対して料金が発生します。サービス対価が分かりやすく、採用予算をシミュレーションしやすい点がメリットです。
また利用料金がかからないため、自社にマッチする人材を探し続けてもらえます。そのため納得できる人材に巡り合うまでサービスを継続して利用することができます。
非公開求人の募集ができる
人材紹介は、プレスリリースする前の新設事業のメンバー募集や幹部・役員ポジションの採用など、社外はもちろん社内のメンバーに対しても知られたくない採用を表立てず進められます。
採用競合だけではなく事業競合に対しても自社の動向を知られることなく採用を進められる点は、他の採用手法にはない人材紹介ならではのメリットと言えるでしょう。
エージェントが自社にマッチした人材をセレクトしてくれる
人材紹介では自社に興味を抱いてくれた候補者の中から、さらにマッチ率の高い人材かエージェントが見極めてくれます。そのため選考へと進む人材はある程度自社にマッチした人材であり、書類選考の精度も高まります。またマッチ率の低い面接を減らす効果もあり、面接官の負担や余分な人事の手間が削減できるでしょう。
人材紹介を利用する際のデメリット
人材紹介にもデメリットと感じる側面があります。
人材紹介を利用する際に発生し得るデメリットは次の4つあります。
- 採用ノウハウが得られるわけではない
- 複数名採用には向いていない
- 直接候補者に自社の魅力訴求ができない
- 条件や募集地域によっては候補者がいない場合もある
採用ノウハウが得られるわけではない
併走型のサポートを受けられるスカウト代行とは異なり、人材紹介はその名の通り人材を紹介してくれるサービスです。そのため人材紹介を利用したとしても、自社に採用ナレッジが蓄積されていくことはあまりないでしょう。
複数名採用には向いていない
人材紹介は成功報酬型サービスのため、内定承諾に至った人数分の料金を支払わなくてはいけません。大量に人員を採用したい場合には、相応のコストを想定しなければなりません。
直接候補者に自社の魅力訴求ができない
例え自社にマッチした人材が人材紹介の候補者リスト内にいたとしても、その候補者に対してスカウト採用のように直接自社の魅力を訴求することはできません。そのため潜在的な候補者を逃してしまう可能性もあります。
条件や募集地域によっては候補者がいない場合もある
人材紹介は人材紹介企業が保有する候補者リストの中からマッチ率の高い人材を推薦してくれます。ゆえに、そもそも母数が少ない職種や地方での採用を検討している場合、紹介自体受けられない懸念も考えられます。
スカウト代行がおすすめな企業の特徴
前項目で紹介したスカウト代行・人材紹介のメリット・デメリットを踏まえて、スカウト代行・人材紹介どちらのサービスを選択すべきかお伝えします。
スカウト採用はどんな企業も適切な方法で推進すれば、一定の効果が期待できる採用手法です。しかしその中でも下記に該当する企業は、スカウト採用の強みやスカウト代行の効果を多分に発揮できる可能性を秘めています。
- 大手企業やメガベンチャーなどと比較して知名度や企業ブランドが低い企業
- 採用力が乏しい企業
大手企業やメガベンチャーと比較して知名度や企業ブランドが低い企業
スカウト採用は候補者に直接自社をアピールできる採用手法です。そんな特性を持つ採用手法の効果を高めてくれるスカウト代行を活用することで、知名度やブランド力に左右されることなく自社のビジョンに共感し、ともに組織を創り上げてくれる人材に巡り合えるかもしれません。
採用力が乏しい企業
併走型のサポートを提供してくれるスカウト代行は、業務の代行だけではなくサポートを通じてスカウト採用に関するナレッジ提供も受けられます。
自然と自社にも採用知見が蓄積し、採用に強い企業・組織を形成することができるでしょう。
これらの特徴に該当する企業の場合、スカウト代行を利用することで採用の成功に近づけるだけではなく、自社の採用力強化も図ることができるでしょう。
人材紹介がおすすめな企業の特徴
続いて人材紹介がおすすめとなる企業の特徴をご紹介します。
人材紹介の強みが大きく発揮される企業の特徴は、次の2つです。
これらの企業特徴に該当する場合、先述のメリット・デメリットを踏まえ、人材紹介の利用を検討してみてください。
- 採用に予算も人事の時間も掛けられない企業
- 採用競合と明確な差別化を図れる強みを持つ企業
採用に予算も人事の時間も掛けられない企業
予算に対しある程度の採用成功が求められる場合、採用成功が不確定である採用手法はアンマッチ。
とは言え、在籍社員の口コミで候補者を募るリファラル採用やSNS採用など口コミやマーケティングを取り入れた手法は、多くの時間が割かれてしまいます。
そのような企業は人材紹介を活用することで、想定された予算内かつ最小限のリソースで採用の成功を叶えることができるでしょう。
採用競合と明確な差別化を図れる強みを持つ企業
エージェントは候補者に対し、自社を含め複数の企業を紹介します。
そのためエージェントが候補者に対してどれだけ自社の魅力を訴求してくれたとしても、候補者が他の企業を魅力的だと感じた場合、自社への応募には至りません。
経営方針・事業内容・福利厚生・給料など、採用競合と差別化を図れる強みを持つ企業は、候補者に興味を抱いてもらいやすく、応募にも繋がるでしょう。
上記に該当する企業の場合、人材紹介の強みが発揮され自社のニーズにマッチした人材獲得が叶うでしょう。
どちらのサービスも自社の特徴や日頃から感じている採用の課題に応じて使い分けることで大きな効果が得られます。
スカウト代行と人材紹介の比較 まとめ
スカウト代行と人材紹介は、どちらも採用をサポートしてくれるサービスの1つ。
スカウト代行はスカウト業務を請け負ってくれるサービスであり、人材紹介は自社のニーズにマッチする人材を紹介してくれるサービスです。両者はサービス業態が違うため、提供するサービスも大きく異なります。
利用を検討する際は、それぞれの業態・提供サービスの違いについて理解を深めることが肝要です。
もちろんどちらのサービスにもメリット・デメリットがあります。どちらかのサービスだけに利用を限定せず、企業特徴や採用目的に応じて柔軟に双方のサービスを活用することが採用成功への近道となるでしょう。