【中途採用】求人に応募が来ない原因とは? | 応募が来ない真因と今すぐ取り組める対策

中途採用において求人を出しているものの、「全く応募ない」「採用目標人数に対して応募者数が全く足りていない」と悩む企業・人事ご担当者様は、少なくないでしょう。

応募がなければ選考を始めることもできませんが、「具体的な解決方法が分からない」「表層的な原因は何となくわかるけれども深層的な課題や原因がイマイチ掴めない」というケースも多いようです。

そこで今回は150社以上の採用をみてきた筆者が、「応募が来ない原因」を3つの層に分けて対策と共にお伝えします。

  • 採用競合を模範しているが、採用競合と同じ成果が得られない
  • 原因がイマイチ掴めず、対策や施策の効果が現れない
  • 原因の種類や分類を理解し、適切な対処をしたい

上記に該当する、企業・人事ご担当者様はぜひご一読ください。

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中途採用の応募数に対する課題と実態

下記は、株式会社アールナインが行った『中途採用に関する実態調査』の結果です。
本調査からは、6割以上もの企業が中途採用において「応募者が少ない」という課題を抱えています。

  • 応募者が少ない:66.0%
  • 応募者の質が好ましくない:34.0%
  • 採用の人手が足りない:21.3%

なお「応募者の質が好ましくない」という課題が2位に続くことから、中途採用課題の中で母集団形成に課題を感じている企業が大半を占めているようです。

引用:株式会社アールナインが行った『中途採用に関する実態調査』

またProFuture株式会社が行った『中途採用に関する調査』でも、中途採用において「期待通りの応募数があった」と回答した企業は半数にも満たない結果となりました。
「ほとんど応募がなかった」企業も7%あり、本項目で紹介した2種のデータからも「求人を出したものの応募が来ない」と悩む企業・人事ご担当者様が多い様子が伺えます。

引用:ProFuture株式会社『中途採用に関する調査』

求人に対し応募が来ない原因

応募が来ない原因は次の2つに分類されます。

  • 求人が閲覧されていない
  • 求人は閲覧されているが、応募に繋がらない

まずは応募が来ない原因は上記どちらに該当するのかを分析してみましょう。
求人を掲載している媒体の多くは、閲覧数や応募数の把握ができます。
データを用いることでどちらに課題があるのか、可視化できるでしょう。

次の章では、『求人が閲覧されていない』ケースと『求人は閲覧されているが、応募に繋がらない』ケースの2種に分けてさらに細かく原因を深堀していきたいと思います。

【応募が来ない】求人が閲覧されていないケース

そもそも求人が閲覧されていない場合、根本的な原因として『施策ミス』が考えられます。
具体的には、次の3つの要因が潜んでいます。

  • 求人媒体が合っていない
  • 求人内容とペルソナが合致していない
  • 求人のタイミングが合っていない

求人媒体が合っていない

まず求人が閲覧されていないケースの要因として『求人媒体が合っていない』点が挙げられます。
下記のいずれか1つでも該当するのであれば、求人を掲載する媒体を見直すことをおすすめします。

  • 媒体のユーザー層が採用ターゲットとマッチしているのか
  • 自社の業界・社風・風土に合った媒体なのか
  • 転職希望者・アクティブユーザーが多いのか

媒体のユーザー層が採用ターゲットとマッチしているのか改めて見直しましょう。さらに自社の業界・社風・風土に合った媒体なのかを確認することも大切です。

また採用支援を通じて数多くの媒体を利用して筆者としては、転職希望者とアクティブユーザーの数にも注目いただきたいと思います。
例え登録者数が多い媒体でも転職希望者が少ない場合、応募にはなかなか繋がりません。またアクティブにログインし情報収集に励むユーザーが少ない媒体の場合、求人を掲載しても期待する応募数を達成することは難しいでしょう。

求人内容とペルソナが合致していない

採用活動では、多くの企業でペルソナ()を設定しているケースが大半かと思います。
求人を掲載する時は、自社の設定したペルソナが登録するであろう媒体を予想し、適した媒体に掲載することが大切です。

また筆者が採用を支援した企業様の中には、求人内容が全般受けする内容になってしまい、ペルソナに刺さらない・魅力が平凡化してしまっている求人もありました。
求人掲載で大切なことは、自社の設定したペルソナに刺さる求人を創り上げることです。

自社の設定したペルソナにとって応募意欲を訴求する内容になっているのか、採用競合の求人と比較しながら改めて内容を練り直しましょう。

(※)ペルソナ
仕事への価値観・ライフスタイル・趣味・家族構成などをもとに一人の人物を想定し作り上げた架空の人物のこと

求人掲載のタイミングが合っていない

求人が閲覧されていない場合、求人掲載のタイミングが転職希望者の動向とマッチしていない可能性もあります。
採用競合や求人市場の動向を把握し、求人掲載のタイミングを調整することも大切です。

新卒採用と違い中途採用には、求人掲載数が高まる時期・転職者の応募率が高まる時期があります。転職希望者の動きに合わせて適切なタイミングで求人掲載時期を調整することで、求人の閲覧数を増やすことが出来るでしょう。

なお下記は厚生労働省のホームページで公開されている『一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)』です。
1年間の中でも有効求職数・有効求人数に変動があることが分かります。
12月は有効求職数が落ち込み、反対に2月・3月にかけて有効求職数が伸びている様子が伺えます。

引用:厚生労働省『一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)』
また下記は年間の中でも転職活動が活発化する時期の一例です。

【1月・2月】
冬の賞与を受け取った後、新年度4月からの始業を見据え、転職活動を開始する人が増える時期

【7月・8月】
夏の賞与を受け取った後、下期である9月からの始業を見据え、転職活動を開始する人が増える時期

1人でも多くの応募を募るためには、転職者の動向に合わせた求人掲載が肝要です。上記で紹介した転職活動が活発化する時期に合わせ、1か月前までには求人を掲載する媒体の選定や見積もり、求人原稿内容を固めていきましょう。

【応募が来ない】求人閲覧はあるが、応募に繋がらない

求人閲覧はあるが、応募に繋がらない場合、次の3つの要因が考えられます。

  • 求人情報の質が低い
  • 応募のハードルが高い
  • 採用競合と比較して優位に立てる情報がない

求人情報の質が低い

せっかく求人が閲覧されていたとしても求人情報の質が低い場合、当然ですが応募に繋がりません。
掲載している求人情報を見直し、下記に該当する場合はすぐに適切な内容に修正しましょう。

  • 仕事情報の内容が薄い
  • 情報のまとまりがない
  • 求人に記載している情報が古い
  • ストーリー性が感じられない
  • 形式的な内容ばかりになっている

業務内容・労働条件・待遇などの詳細情報が不足している場合、候補者が求人に興味を持ったとしても不安を感じ応募意欲が減退してしまいます。

また表現方法を見直し、魅力的な求人に仕上げる工夫も必要です。
求人情報には社風や働く社員の様子を盛り込んだり、創業までのエピソードや経営者の想い、事業方針やビジョンなども盛り込み、具体的な企業イメージを描けるようにすることがポイントです。
そうすることで候補者は「会社の姿」「働く社員の様子」を思い描けるようになり、興味喚起にも繋がります。

応募のハードルが高い

掲載している情報量は十分だったとしても、応募のハードルが高いと感じられてしまう場合も、応募は集まりません。
必要以上にスキルや経験を求め過ぎていないか、掲載されている応募条件を見直してみましょう。

また求人情報内に記載する際は、ぜひ次のポイントを意識してみてください。

  • 応募条件は、「Must(必須条件)」と「Want(歓迎条件)」に分けて記載する
  • 数字で表記できる内容は数字で示す

候補者は応募の段階で複数の求人情報を見比べた上で応募先を決定するケースもあります。
応募条件は、業務上不可欠な必須条件と選考優遇が期待できるWant(歓迎条件)に分けて記載しましょう。
また候補者は、応募の段階で複数の求人情報を見比べた上で応募先を決定するケースも珍しくありません。数字で表記できる内容は数字で示し、「分かりやすさ」を大切にすることも忘れないようにすることがポイントです。

中途採用では即戦力となる人材を確保したいと考えるケースが一般的ですが、例えスキルや経験が不足していたとしても、もしくは年齢が多少採用条件から外れていたとしても、人柄やポテンシャルなどで十分に補える可能性もあります。

応募段階の間口は広く設けておき、各選考プロセスで絞り込んでいくようにしましょう。

採用競合と比較して優位に立てる情報がない

先述の通り、候補者は複数の求人情報を見比べた上で応募企業を絞っていることもあります。
そのため求人の閲覧はされているものの採用競合と比較して優位に立てる武器や突出した魅力がなく、応募の段階で採用競合に競り負けている可能性も考えられます。

報酬・年間休日日数・フルフレックスなどの自由な働き方など、転職希望者にとって魅力的に映り差別化を図りやすい待遇・条件は必ず記載しましょう。

また次の項目も採用競合と比較し魅力付けしながら記載していくことで、採用競合と差別化を図る有益な情報になり得ます。

  • 離職率
  • キャリアアップ機会
  • 従業員の年齢層
  • 従業員同士のコミュニケーション頻度
  • 労働環境
  • 業界内の優位性
  • サービス・製品 など

自社で設定したペルソナを思い浮かべ、どの項目が候補者に刺さるのか求職者視点から求人情報を練り上げていきましょう。

応募が来ない原因から考察する根本的な真因と対策

本項目では先述で解説した応募が来ない原因から、さらに精察いただきたい真因を解説いたします。
本項目では、応募が来ない原因から推察される次の3つの真因についてお伝えします。

  • 転職希望者が重視するポイントを理解できていない
  • 採用ノウハウがない
  • 自社の強みが明確化できていない

表面化しにくい真因は、改善したからといってすぐに応募数が増えるわけではありません。しかし真因こそ1つずつ解消していくことで、採用体制を強固にしていくことができ、応募数の向上のみならず採用活動において様々な恩恵を期待できるはずです。

【真因1】転職希望者が重視するポイントを理解できていない

対策:転職希望者・ペルソナの視点を意識する

求人情報の掲載において大切なことは、常に『転職希望者(ペルソナ)の視点を意識すること』です。
特に転職活動では、「1度社会を経験している状態」で企業を選びます。
そのため新卒採用と比較し、必然的に企業選びで重視するポイントも異なります。

株式会社学情が行った「就職活動と転職活動の違い」についての調査では、企業選びの際に重視するようになったことを問う設問では、就業経験3年以上の「ヤングキャリア」と就業経験3年未満の「第二新卒」の回答は、次のような結果になりました。

ヤングキャリア・第二新卒共に『仕事内容』『自分自身の今後のキャリアビジョン』が1位・2位に並びました。

3番目以降はヤングキャリア第二新卒で異なる結果となりました。
ヤングキャリアは「福利厚生・手当」「年収や昇給・昇格のぺ―ス」となっており、条件面を重視している様子が伺えます。
第二新卒は「休日のとりやすさ・残業時間」「福利厚生・手当」が続き、自分らしさ・自分らしく働くことを重視していると考えられます。

本項目で紹介した企業選びで重視するポイントはあくまでも一例ですが、年齢はもちろん、業界・業種によっても企業選びで重視するポイントは異なります。
設定したペルソナがどのような項目を重視しているのか、各種データや市場情報から理解に努めましょう。

引用:株式会社学情「就職活動と転職活動の違い」

【真因2】採用ノウハウがない

対策:採用ノウハウを蓄積できる体制を整える

『求人が閲覧されていない』『求人は閲覧されているが、応募に繋がらない』という
原因の根本的な真因には『採用のノウハウがない』点も挙げられます。

採用ノウハウを持ちあわせていれば、施策ミスを防ぐことができ、より最適なペルソナに合った求人情報の作成・求人媒体の選定が可能になります。

さらには、求職者が求めるものや、競合他社がどのような人材を採用しているのかも知見から推察でき、自社の採用戦略を構築できるようにもなります。

1人人事や人事経験のない担当者の場合、採用ノウハウ・知見が不足しがちです。
必要に応じて外部からノウハウや知見を得ていく必要があるでしょう。

【真因3】自社の強みが明確化できていない

対策:改めて自社の特徴や強みを見直し、候補者が自社を選ぶ理由を明確にする

長年の筆者の採用支援経験から意外にも自社の強みをきちんと理解・明確化できていないが故に、採用競合に競り負けていると感じるケースもあります。
改めて自社の特徴や強みを見直し、候補者が自社を選ぶ理由を明確にすることで、優位性を示すことができます。
内定辞退・内定承諾者それぞれにインタビューを行い、「どこに魅力を感じたのか」「採用競合に劣る部分はどこだったのか」をヒアリングするのも有効な手段です。

また求人情報だけに頼らず、応募者の応募までの導線を考えた情報発信に力を入れる必要もあります。採用ブランディングや採用広報に力を入れることでぐっと応募率を高めることができるでしょう。

コスト・効果の即効性別の応募数向上対策

本項目では、これまでに紹介した対策をコスト・即効性別に次の3つに区分しています。

  • 低コストかつすぐに取り組める対策
  • ややコストや時間がかかるが真因的課題を解決してくれる対策
  • コストがかかり、長い時間も要するが採用活動そのものの課題を解決に導いてくれる対策

真因や予算、早急性を鑑みて自社に取り入れるべき対策を比較・検討しましょう。

低コストかつすぐに取り組める対策

下記に挙げる施策は、比較的低コストですぐにでも取り組める対策です。
求人の応募が少ないと感じる場合は、まず下記対策に取り組みましょう。

  • 募集条件を見直す
  • 求人情報内容を見直す

しかしこれらの対策は、目の前にみえている表層部分だけの改善に留まってしまうケースもあります。
上記対策だけで、深層部分の課題解決に至るわけではない旨を覚えておきましょう。

ややコストや時間がかかるが真因的課題を解決してくれる対策

応募が来ない原因は「求人が閲覧されていない」「求人は閲覧されているが、応募に繋がらない」の2種ある旨をお伝えしましたが、それぞれの原因にはさらに子細に分類されます。子細部分まで原因を究明し解決しない限り「応募が来ない」という課題は続く可能性があります。

子細1つひとつに合わせ課題解決に取り組むにはコストや時間がかかります。しかし一方で根本からの解決が期待できるため、上記で紹介した『低コストかつすぐに取り組める対策』で効果が見込めない場合は、下記対策に着手することをおすすめします。

  • 利用する求人広告媒体・ツールを見直す・増やす
  • 採用プロセスを見直す
  • ペルソナを見直す

採用活動の基盤やさらに細かく砕いた原因を明確にし、原因ごとの対策に取り組むことで、「応募が来ない」という課題解決が期待できます。
しかし1度の対策・改善ですぐに状況が好転するわけではありません。PDCAサイクルを何度もまわし、トライ&エラーを繰り返すことで自社にとって最適な採用プロセスや応募が増える媒体が見つかることでしょう。

コストがかかり、長い時間も要するが採用活動そのものの課題を解決に導いてくれる対策

さらに「応募が来ない」という課題に対し、核となる真因を解決するためには採用活動の在り方を見直す必要があります。

  • 採用ブランディングを強化する
  • 採用広報を強化する
  • 採用ノウハウの蓄積
  • 人手を確保する

上記はコストもかかり、さらに効果が現れるまでに長い時間を要します。
しかし、自社の採用活動の在り方やこれまでの実績を振り返り、抜本的な活動の変更・強化が必要なのであれば、取り組む価値はあるでしょう。

売り手市場傾向の強い中途採用市場において、求人広告の情報だけでは候補者に選ばれる可能性は残念ながらほとんどありません。
採用ブランディングや採用広報を強化し、多角的に候補者に自社をアピールしていく必要があります。

また採用ノウハウを持ち併せていない企業・人事ご担当者様の場合は、採用代行や採用コンサルティングを導入し、自社に採用ナレッジを蓄積していくことも視野に入れましょう。
初期費用はかかるものの、闇雲に採用活動に取り組むよりも、目に見える効果や正しい採用ナレッジの蓄積も期待できます。

さらに採用活動には、多くの工数が掛かります。
採用媒体や手法も多様化する中で、工数ばかりが肥大化し思うような採用活動に取り組めていない人事ご担当者様も多いように感じます。
アルバイト・フリーランス・採用代行など求める品質・軽減した負担に応じて人手を増やすのも1つの方法です。
状況に応じて人手を確保することで採用活動の質が高まり、応募が来ないという課題に対してもしっかり向き合い、原因究明から解決まで対策を取れるようになるでしょう。

求人に応募が来ない原因と対策 まとめ

『求人に応募が来ない』という課題に対しては、表層部分だけで解決にあたりがちですが、実は原因と一口に言っても細かくカテゴリーごとに分類され、さらには深層部分まで追求しないと見えてこない真因があります。

特に真因は企業ごとに大きく異なる部分であるため、採用競合を模倣したからといって同様の効果が見込めるわけではありません。しかし真因の究明・解決まで至ることが出来れば採用活動そのものが大きく変わる可能性も期待できます。

本記事で紹介した3つの段階ごとに課題を明確にし、1つひとつ自社の課題に合わせた対策を講じてみてください。
母集団形成は優秀な人材を採用するための非常に重要な工程です。
多数の候補者の中から自社にぴったりの人材を採用できるよう、応募者数を増やしていきましょう。