【例文あり】採用活動における日程調整の重要性 | 日程調整率を高めるポイントと日程調整メール作り方のコツ

採用活動において日程調整業務は、多大な労力と時間がかかる工程です。
しかし一方で応募者と直接コミュニケーションを図れる貴重な機会であり、採用成功を左右する重要な工程とも言えます。

同じ労力を費やすのであれば、より効果や効率を高められるよう戦略的に対応したいと考える企業・人事担当者も少なくないのではないでしょうか。

そこで今回は、150社以上の採用をみてきた筆者が、日程調整の重要性をデータを用いて定量的にお伝えすると共に、日程調整率を高める方法や日程調整メール作成のコツなど、知っておきたいノウハウも併せてご紹介します。

  • 日程調整に工数・時間が割かれており、効率化を図りたい
  • 日程調整率を高める工夫や施策を知りたい
  • 日程調整の案内メールで気を付けるべき点・意識するポイントを知りたい

上記に該当する、企業・人事ご担当者様はぜひご一読ください。

イチグウRPOは人事担当者のノンコア業務を代行し、人事担当者が『コア業務』へ集中できる環境づくりをサポートする採用代行サービスです。

詳しいサービス内容や料金を知りたい方はこちら。

日程調整の重要性

日程調整をスムーズに進めることで、次のような潜在的な効果が期待できます。

  • 選考辞退を防ぐ
  • 内定承諾の決め手に繋がる

日程調整は、面接以外の場で応募者と直接コンタクトを図る貴重な工程の1つであり、ただ単に応募者と日程を合わせるだけではない旨を理解しておくことが大切です。

選考辞退を防ぐ

候補者との日程調整をスムーズに進めることで、選考辞退を防げると考えられます。
マイナビ転職情報事業本部が行った『採用辞退に関する実態調査』によると、応募者が1次面接で選考を辞退した理由は次の通りでした。

  • 他社から先に連絡が来ていた:22.2%
  • Webサイトの企業評価や口コミ情報を見て、希望に合わないと思った:20.3%
  • 他社から内定を獲得した/他社での選考が通過した:20.3%
  • HPなど企業情報を見て、希望に合わないと思った:18.3%
  • 選考日程に不都合・不満があった:17.0%

引用:マイナビ転職情報事業本部『採用辞退に関する実態調査』

日程調整の不備が直接的に辞退の要因となった割合は、なんと17%にも上りました。
また直接的ではなくても、「他社からの連絡のほうが早かったために選考に進む意欲が減退した」「他社の選考進度が早かったために自社の選考を辞退した」という理由も多くの割合を占めており、採用競合よりもよりスピード感のある日程調整が必要であることが推察されます。

さらにエン・ジャパン株式会社が運営する、人事向け総合情報サイト『人事のミカタ』が行った「中途採用における選考辞退」についてアンケート調査によると、選考辞退対策として多くの企業が下記データの施策に取り組んでいることが分かりました。

中でも『面接日程を複数送り、選択できるようにしている』と日程調整にまつわる項目が2位に位置しており、6割もの企業がスムーズな日程調整に注力している様子が伺えます。

引用:エン・ジャパン株式会社『人事のミカタ(中途採用における選考辞退)』

応募者・求人企業双方の視点のデータを紹介しましたが、どちらにおいても日程調整が採用成功を左右する1つの要因になり得る旨を示唆しています。

内定の決め手に繋がる

また、日程調整が少なからず内定の決め手に繋がっているというデータもあります。
マイナビ転職情報事業本部『採用辞退に関する実態調査』内の「入社決定企業の決め手」を問う質問では、上位に仕事内容・社員・知名度・給与などの多くの応募者が意識する項目の後に「入社日決定や面接日設定の対応、連絡方法、タイミング」が続きました。

本調査においては、「福利厚生や育児休暇」などの働きやすさ、「出世を目指せる」などのキャリアアップ項目よりも上位に位置する結果となりました。

引用:マイナビ転職情報事業本部『採用辞退に関する実態調査』

例え「福利厚生」や「キャリア支援」などの条件面が多少採用競合に劣っていたとしても、スピード感ある日程調整や丁寧な対応でフォロー・カバーできる可能性があるとも言えます。

日程調整をスムーズに進めるコツ

日程調整をスムーズに進めるにあたり、意識したいコツは次の通りです。

  • 事前に候補日程を知らせておく
  • 日程調整ツールを導入する
  • 返信期日を記載する

採用活動における日程調整の重要性をご理解いただけたかと思います。しかし具体的な方法や施策が分からない、人事ご担当者様も少なくないでしょう。

ぜひ本項目で紹介するコツや施策を取り入れてみてください。

事前に候補日程を知らせておく

調整が必要になる1つ前の工程で、応募者に日程を知らせるプロセスを組み込んでみましょう。

例えば、書類選考のタイミングであれば、書類を受け取ったお礼と共に1次面接の予定日を応募者に知らせておきます。また1次選考が終了した後であれば、1次面接終了時もしくは面接参加お礼と共に次回選考の予定日を伝えておくと、応募者も早めにスケジュール調整を行うことができるでしょう。

日程調整ツールを導入する

日程調整をスムーズに進めるためには、日程調整ツールを導入するのも1つの方法です。

<代表的な日程調整ツール>

  • Skett
  • TimeRex
  • 調整アポ
  • waaq Link など

<日程調整ツールの主な機能>

  • 面接担当のメンバーの予定の表出
  • 面接可能時間の設定
  • リマインドメールの自動送信
  • Googleカレンダーとの連動 など

日程調整ツールの中にはGoogleカレンダーと連動しているものや複数人の調整ができるものもあります。
また応募者に対しては、日程調整画面が表示されるURLをメールに添付するだけで対応が完了します。

URLにログインすれば常に最新の候補日が表示されるため、追加日程の案内や予約の取り直しにかかる工数・時間を削減できるでしょう。

返信期日を記載する

筆者の経験から、日程調整メールに返信期日を記載することも効果的だと言えます。
応募者にとっても返信忘れ防止に繋がるでしょう。

また採用活動に取り組む企業にとっては、リマインド敷居が低くなり、リマインドタイミングも明確になります。リマインド業務を日々のジョブローテーションに組み込みやすくなるといったメリットも挙げられます。

日程調整率を高めるために導入したい施策

日程調整業務の効率化を図りつつも、日程調整率を高める施策の実行も不可欠です。
本項目では4つの施策をご紹介します。

  • リマインドを送る
  • 土日・17時以降の時間帯を設ける
  • 電話での調整も併用する
  • 面接終了時に次回面接日程を決めておく

ぜひ取り入れられる施策があれば、自社のオペレーションに落とし込んでみましょう。
効率化と日程調整率は別物と考え、それぞれの目的に合わせ意識的に施策を実行することが肝要です。

リマインドを送る

これまで筆者が採用を支援してきた企業様の多くは、計画的にリマインドの送付ができていない企業様が大半でした。確かに日程調整の工数が増えてしまうデメリットは否めませんが、リマインドメールが効果的であると謳うデータもあります。

<リマインドメールの効果>

転職サービスを提供するLAPRAS株式会社が自社内で調査したデータによると、“リマインドメールの返信率は12.0%だった”そうです。

返信率が20%の場合、返信がない80%のうちの12%から返信を得られたことになります。
つまり、スカウトメール全体の返信率は29.6%となります。返信率が約1.5倍に増加したことになります。
本調査はスカウトメールに対する調査ですが、日程調整においても少なからず同様の傾向が現れると考えられます。

またリマインドメールを送ることにより、応募者にも次のような効果が現れることも期待できるでしょう。

  • メールが埋もれており、リマインドメールで日程調整のメールに気が付いた
  • リマインドメールが来たことで自分に興味を持ってくれていることが分かった
  • 丁寧なリマインドメールに好感を抱いた

<リマインドメールのタイミング>

リマインドメールを送付する際は、適切なタイミングを見極めなければなりません。
LAPRAS株式会社の同調査では、スカウトメール送信直後(4日〜1週間後)のリマインドメールが効果的と公表しています。

引用:LAPRAS株式会社

1週間から30日手前までは一定の率を保っているため、30日までにはリマインドメールの効果が見込めるそうですが、あくまでの本調査はスカウトのリマインド効果を測る調査です。

日程調整に置き換えた場合は、より迅速な対応が求められます。
日程調整については、3日後に1回目のリマインド、5〜7日後に2回目のリマインドを行うことが好ましいでしょう。

<リマインドメール例文>

リマインドメール作成のポイントは次の3点です。

  • 押しつけがましくならないこと
  • 件名から用件を把握できるようにする
  • 簡潔に伝える

▼件名
【一次面接】日程調整のご案内_イチグウ株式会社

▼本文
◯◯様
イチグウ株式会社 採用担当△△と申します。
●月●●日にご案内差し上げた一次面接の日程調整につきまして、再度ご連絡いたしました。

◯◯様の応募書類を拝見し、○○の経験が当社でも活かされるのではないかと思っております。

ぜひ一度直接お話ししたく、弊社の本社オフィスにて、
1時間ほどお時間をいただければと存じます。

・○月○日(●)14:00~・16:00~
・○月○日(●)9:00~・10:00~
・○月○日(●)13:00~・14:00~

なおいずれの日程も都合が合わない場合は、ご都合の良い日時を3つほど返信にてご教示くださいませ。

ご多忙の中とは存じますが、○月○日(○)までに返答いただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

なかなか返信が返ってこないケースも珍しくありません。このまま返信を諦めてしまっては、せっかくの応募も選考にすら繋がりません。
もし日程調整メールへの返信がない場合は、リマインドメールを上手に活用しましょう。

土日・17時以降の時間帯を設ける

仕事を継続しながら転職活動に取り組む求職者も少なくありません。そのような求職者の場合、一般的なビジネスアワーと言われる時間帯(8時〜18時の間)だけに面接日時が限定されてしまうと、日程調整のハードルが高まってしまいます。

日程調整を後回しにしたり、日程調整しやすい別の企業から調整を始めるケースも起こり得るでしょう。募集職種・業種、さらには応募者の転職意欲などを鑑みて、土日や17時以降の時間帯の面接日時も設けることを視野に入れながら調整を進めていきましょう。

また日程調整メールには、オンライン面接への切り替えや土日・17時以降の対応の可否も記載しておくと、応募者にとっても日程調整のハードルがぐっと下がるでしょう。

電話での調整も併用する

筆者が採用支援を行ってきた企業様の中には、メールだけで日程調整連絡を完結させているケースも少なくありませんでした。可能であれば電話も用いながら日程調整を進めましょう。

過去にメールだけで日程調整をおこなった場合の面接設定率の平均値が40%だった企業様が、電話連絡を併用することで65%まで向上することができた例もありました。
対面面接が主流だった時の、面接設定率の平均値は50〜60%程度と言われています。
電話連絡を併用することで、平均値に近い数値まで調整率を高められた結果となりました。

面接終了時に次回面接日程を決めておく

スキルや経験、人間性に優れた人材であれば、間髪入れずに次の面接の調整を進めたいと感じるケースもあるでしょう。
そのような場合は、面接終了時に応募者の予定を抑えておくことも有効です。あるいは応募者から希望予定日を聞いておき、合格メールと同時に日程決定の旨を案内することでスムーズかつ迅速に日程調整を行うことができるでしょう。

日程調整メールのコツ

日程調整のメールを工夫するだけでも、調整率を高められることもあります。
日程調整メールで盛り込んで頂きたいコツは次の4つです。

  • 一目して分かるタイトルを付ける
  • 面接の詳細を記載する
  • 書類選考通過の理由を記載する
  • 一次面接の内容を伝える

いずれもすぐに改善に取り組めるコツばかりです。
本項目で紹介するコツを参考に、ぜひ自社で送付している日程調整メールのブラッシュアップを図ってみてください。

一目して分かるタイトルを付ける

日程調整メールには一目して分かるタイトルにしましょう。
応募者は、他社からも大量のメールを受け取っていると考えられます。そのため一目して分かるタイトルを設定することが大切です。

<日程調整メールタイトル例>

下記の通り「社名」「面接日程の案内」のワードは必ず盛り込みましょう。
例1:【〇〇株式会社】一次面接日程のご連絡
例2:【一次面接】日程調整のご案内(株式会社○○)

<日程調整メールタイトルNG例>

下記のように内容が掴めないタイトルにならないように注意しましよう。
NG例1:○○株式会社からのお知らせ
NG例2:一次面接参加のお礼

面接の詳細を記載する

日程調整メールに面接の詳細が記載されていないケースも散見されます。
見落としがちな点ではありますが、不明点を問い合わせせずに辞退してしまうケースも珍しくありません。

下記のように面接に関する詳細情報を記載しておくと、応募者も日程調整しやすくなるでしょう。

  • 面接形態
  • 面接場所
  • 面接所要時間
  • 適正テストの有無

選考通過の理由を記載する

ダイレクトリクルーティングが一般化し、求職者は企業からオファーやスカウトを受け取ること自体珍しいものではなくなりつつあります。
そのため、日程調整メールにおいても「なぜ選考を通過したのか」を記載することで、応募者の興味喚起に繋げることができるでしょう。

マイナビ転職情報事業本部『採用辞退に関する実態調査』内の「。a.入社決定企業(転職希望1位)から、実際にあった連絡内容とb.選考辞退企業(一次面接後~内定前)から、実際にあった連絡内容」を比較したデータでは、書類通過の際に「なぜあなたが通過したのか」がきちんと提示される否かで入社決定企業と辞退企業に大きな開きが見られました。

引用:マイナビ転職情報事業本部『採用辞退に関する実態調査』

本データからも、合格通知を兼ねた日程調整の場合、選考通過理由を一言添えるだけでも日程調整の質が高まると期待できます。
特に中小企業や不人気企業など採用に苦戦を強いられている企業は、応募者との1つひとつの接点を大切にする意味でも「なぜ選考を通過したのか」一言、日程調整メールに添えてみることをおすすめします。

一次面接の内容を伝える

先述の面接内容を事前に伝えておく項目とも共通するポイントになりますが、次のステップの面接内容を伝えておくのも施策の1つです。

  • 面接同席者
  • 質疑の内容
  • 適正テストの有無

事前に面接内容を伝えておくことで、応募者は調整日程までに事前準備ができるのか検討できます。直前の辞退の軽減にも繋がると期待できるでしょう。

日程調整メール例文

最後に日程調整のメール例文を紹介します。

▼件名
書類選考結果のご連絡と一次面接のご案内【株式会社〇〇】

▼本文
◯◯様
イチグウ株式会社 採用担当の▲▲です。
この度は、弊社の求人にご応募いただきありがとうございました。

◯◯様の応募書類を拝見し、○○の経験が魅力的に感じました。
ぜひ一次面接で直接お話させて頂きたいと思っております。

弊社の東京本社オフィスにて、1時間ほどお時間をいただければと存じます。
早速ですが日程調整を進めてまいりますため、下記候補日より希望の日程をご選択ください。

【候補日】
◯月◯日(◯) ◯:◯〜◯:◯
◯月◯日(◯) ◯:◯〜◯:◯
◯月◯日(◯) ◯:◯〜◯:◯

なおいずれの日程も予定が合わない場合は、ご都合の良い日時を3つほど返信にてご教示くださいませ。
※遠方にお住まいの場合、もしくは平日日中に都合が付きにくい場合は、オンライン面接や18時以降の調整も可能です。

【面接会場】
イチグウ株式会社 東京本社オフィス
住所:東京都~

【一次面接詳細】
一次面接では人事担当者・営業マネージャーが同席し、
○○さんのキャリアや展望などざっくばらんにお話できればと思います。

それでは、お返事をお待ちしております。

日程調整メールを送る際は、宛名が「◯◯様」とテンプレート修正がされていなかったり、詳細が間違っていたりしないよう、注意が必要です。
貴重な応募者接点であるからこそ、自社の信頼を落とすような行為になってしまわぬよう、細心の注意を払いましょう。

日程調整メール まとめ

採用活動において日程調整は欠かせない工程の1つです。業務の煩雑さ故につい流れ作業になってしまっている企業・人事ご担当者様も少なくないかと思います。
しかし本記事で紹介した通り、日程調整は『選考辞退を防ぐ』『内定承諾の決め手に繋がる』など採用活動を成功させるための基盤にもなる工程です。

また日程調整メールは、比較的改善に取り組みやすい工程の1つです。
本記事で紹介した事例やコツを参考に、ぜひ応募者視点を意識しながら日程調整業務のブラッシュアップに取り組んでみてください。