ダイレクトリクルーティングは求人広告採用と何が違う?

一昔前と比較して採用手法は多様化し、「求人広告に掲載すれば採用できる!」という時代は終わりを迎えつつあるのかもしれません。外部環境の変化や人材獲得競争の激化に合わせて、採用手法や戦略の見直しを迫られている企業は少なくないでしょう。

試行錯誤しながら採用活動を進める中で「新しい採用手法を知りたい」と考える人事ご担当者様も多いかと思います。

そこで今回は、トレンドに挙がる採用手法の中でも年々市場規模を拡大している『ダイレクトリクルーティング』について、従来の採用手法である求人広告との違いや特徴、今後の需要をご紹介します。

  • ダイレクトリクルーティングについて理解を深めたい
  • ダイレクトリクルーティングの今後の需要を知りたい
  • ダイレクトリクルーティングと広告求人との違いを教えて欲しい

上記のようなお悩みを持つ企業・人事担当者様は、ぜひご一読ください!

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ダイレクトリクルーティングとはどんな採用手法?

ダイレクトリクルーティングとは、自社の採用したい人物像にマッチした候補者に対し、オンラインサービス内のスカウト・メッセージ等を通じ、自社の魅力を直接アプローチできる採用手法のことです。

今すぐ転職したいと考えている層(転職顕在層)や新卒入社を目指す就活生だけでなく、転職潜在層や大学1回生・2回生にアプローチできるのもダイレクトリクルーティングの特徴です。
採用競合よりも早く優秀な人材にアプローチできるダイレクトリクルーティングは、ブランド力や条件魅力に欠ける企業でも戦略次第で採用活動を優位に進められます。

現在は新卒採用・中途採用共に、転職・就活情報サイトや人材紹介サービスに並ぶ採用手法として定着しつつあります。

ダイレクトリクルーティングの今後の需要

次々と新しい採用手法が生まれる中、気になるのはダイレクトリクルーティングの今後の需要ではないでしょうか。せっかく導入しても成果が得られないほどに衰退してしまっていては、導入の有効性が得られなくなってしまいます。

結論から申し上げると、新卒採用・中途採用共にダイレクトリクルーティングの今後の需要はさらに伸びると推察できます。

本項目ではその理由を、新卒採用・中途採用に分けてお伝えします。

【新卒採用】ダイレクトリクルーティング今後の需要

ダイレクトリクルーティングは、デジタルリテラシーが高く「自分らしさ」を重視するZ世代との親和性が高く、コロナ禍以前から登録学生数が伸長していました。
また企業側も新型コロナウイルスの影響による就職活動のオンライン化や対面イベントの激減に伴い、大きく利用社数を伸ばしています。

ダイレクトリクルーティング媒体Offer Boxを展開する株式会社i-plugが公表した『2023年3月期 第2四半期決算説明会資料』によると、企業登録数は直近5年間で順調に増加、2Q末時点で12,241社(前年同期比+30.1%)の登録を実現したとのことです。

また登録学生においても、2Q末時点で2023年卒の登録学生数は209,709人(対前年同期比+14.1%)と20万人を突破し、2024年卒も78,952人と前年同月比と同ペースで推移しています。

参考:株式会社i-plug『2023年3月期 第2四半期決算説明会資料』

さらに注目すべき点は、最終的な就職決定人数です。
Offer Box を通じた最終的な決定人数は、同サービスが開始した2016年から右肩上がりに伸びを見せており、2022年卒のOffer Box を通じた最終的な決定人数は、前卒業年度比+41.7%という成果を残しています。

このように登録企業・登録学生共に順調な伸長を見せる新卒採用領域のダイレクトリクルーティングは、一個人として接することを好むZ世代の特徴を捉えた有効な採用手法であることは明らかです。

HR総研×楽天みん就『2023年卒学生の就職活動動向調査』によると、企業から逆求人サイトを経由したオファーを受けている学生の割合は、22卒より23卒の方が高かったそうです。
このことからも自ら積極的に志望企業にエントリーする従来通りの手法だけではなく、逆求人(ダイレクトリクルーティング)も併用し、就職活動に取り組んでいる学生が増加傾向にあることが伺えます。

参考:HR総研×楽天みん就『2023年卒学生の就職活動動向調査』

新卒採用においては、企業の導入意向はもちろん学生の需要ポテンシャルも高く、今後も市場の拡大が見込まれるでしょう。

【中途採用】ダイレクトリクルーティング今後の需要

中途採用における定番の採用手法は人材紹介と転職サイトですが、ProFuture株式会社『HR総研(キャリア採用に関する調査)』の『今後、利用が高まると思う手段・サービス』を問う項目においては、次のような結果となりました。

1位:リファラル採用(従業員からの紹介):53%
2位:ダイレクトソーシング(転職者DB):41%
3位:人材紹介:34%
4位:転職サイト:30%

上記の通り人材紹介・転職サイトを差し置き、ダイレクトリクルーティングが2位に位置しています。企業規模の差異も少ないことから、従来の人材紹介・転職サイトに絞った採用では苦戦を強いられる状況下において、多くの企業が新しい手法の導入を必要視していることが伺えます。

参考:ProFuture株式会社『HR総研(キャリア採用に関する調査)』

また中途採用を代表するダイレクトリクルーティング媒体ビズリーチを運用する株式会社Visional グループのビズリーチ事業は、高い売上高成長と安定的な利益拡大を実現しています。
このことから中途採用においても日本における雇用流動性の成長余地、採用企業側における拡大ポテンシャル、一層の会員基盤拡大などの要素から、今後も市場・需要の拡大が見込まれると推察されます。

参考:ビジョナル株式会社『事業計画及び成長可能性に関する説明資料』

ナビ求人広告媒体とダイレクトリクルーティングとの違い

では、従来の採用手法として一般的な求人広告を用いた採用とダイレクトリクルーティングでは、大きく何が違うのでしょうか。
各採用手法の特徴は次の通りです。

求人広告を用いた採用の特徴

求人広告を用いた採用は、求人ナビ媒体に応募窓口を設け、就活生や転職希望者から応募を待つ採用手法です。求職者からの応募がない限り、採用プロセスを開始することはできません。

また応募前の段階で候補者のスクリーニングができないため、応募後に応募者を見極めるひと手間が発生します。一方で間口を広く設けているため、ダイレクトリクルーティングと比較して工数をかけず応募者を募ることができます。
求める採用条件に縛りが少なく、一定の応募数を見込めるのであれば、高い効果を期待できるでしょう。

ダイレクトリクルーティングの特徴

一方のダイレクトリクルーティングは、ダイレクトリクルーティング媒体に登録している候補者から採用したい人物像にマッチする人物を探すフェーズから採用プロセスが始まります。
スカウトを送付する前の候補者選定をきちんと行えば、採用したい人物像に近い人材だけを募ることができるでしょう。

このようにダイレクトリクルーティングは、転職潜在層に早期接触できるだけではなく応募後のスクリーニングの工数を削減できます。しかしスカウト配信や候補者選定など、求人広告掲載と比較して工数が掛かる側面もあります。

それぞれの採用手法には強みと弱みがあります。
またどんな人材を採用したいのかによっても適した手法は異なるため、自社の採用目標・戦略に適した手法を活用もしくは両者を併用するようにしましょう。

ダイレクトリクルーティング媒体

ダイレクトリクルーティングの導入を視野に入れるのであれば、どのような媒体が展開されているのかを知っておくことも大切です。
本項目では新卒採用・中途採用それぞれ2つずつメジャーなダイレクトリクルーティング媒体をご紹介します。

【新卒採用】Offer Box(ファーボックス)

出典:株式会社i-plug

Offer Boxは、4年連続で最も学生に使われているダイレクトリクルーティングサービスです。
民間就職を希望する学生の約3人に1人が登録しており、多くの学生との接触機会を得られるでしょう。

  • 登録学生数:209,709人 ※2023年2Q時点
  • 登録企業数:12,241社 ※2023年2Q時点
  • 運営会社:株式会社i-plug

【新卒採用】キミスカ


出典:株式会社グローアップ

キミスカは、新卒学生向けのダイレクトリクルーティングサービスの中でOffer Boxに次ぐ登録学生数を誇る媒体です。採用意向に応じて3種のランクのスカウト(ゴールド・シルバー・ノーマル)を使い分けられる点が特徴です。

  • 登録学生数:131,379人※2022年7月21日
  • 登録企業数:2,127社
  • 運営会社:株式会社グローアップ

【中途採用】Wantedly(ウォンテッドリー)

出典:ウォンテッドリー株式会社

共感型採用を推奨しているWantedlyは、募集で伝えきれない自社の魅力を気軽に発信し、候補者のファン化に繋げられるダイレクトリクルーティングサービスです。
検索エンジンやSNS経由での流入に強い採用ホームページとしても活用できるため、使い方次第で採用ブランディングを兼ねることも可能です。
登録者の8割近くが20~30代のため、若手人材の採用に向いている媒体です。

  • 登録者数:300,000人※2021年4月時点
  • 登録企業数:40,000社 ※2021年4月時点
  • 運営会社:ウォンテッドリー株式会社

【中途採用】BIZREACH(ビズリーチ)


出典:株式会社ビズリーチ

ビズリーチは、即戦力人材の採用に特化したダイレクトリクルーティングサービスです。利用者登録時に審査が設けられているため、一定レベルのキャリア・実力を有した人材だけが登録されている点が特徴です。
また企業が直接、登録者のデータベースにアクセスできるため、担当者自ら採用したい人材を探すことができます。

  • 登録者数:170,000人※2022年7月時点
  • 累計導入数:21,100社
  • 運営会社:株式会社ビズリーチ

初めてダイレクトリクルーティング導入は、代行サービスの利用がおすすめ

初めてダイレクトリクルーティングを導入するのであれば、代行サービスの併用も検討しましょう。
ダイレクトリクルーティング導入時にダイレクトリクルーティング代行サービスを導入することで、スムーズに運用を開始できます。
ダイレクトリクルーティング代行を導入するメリットは次の通りです。

  • プロのノウハウを学べる
  • 第三者の視点から自社の採用の強み・弱みを分析してもらえる
  • ダイレクトリクルーティングにかかる工数を削減できる

ダイレクトリクルーティング導入時、媒体選定から躓くケースも少なくありません。また多様化するダイレクトリクルーティング媒体の中で自社にマッチするサービスを選ぶのは困難なことです。

さらにダイレクトリクルーティングは、候補者の選定やスカウト文の作成、応募者とのやり取りなど多くの工数がかかります。ダイレクトリクルーティング経験が無いもしくは少ない場合、効率的に作業を進められず他の業務に支障をきたす可能性も考えられます。

プロのノウハウを学べる

ダイレクトリクルーティング代行を利用する最大のメリットは、ダイレクトリクルーティングを熟知したプロが併走型で運営をサポートしてくれる点です。プロから直接媒体選定のポイントやスカウト文作成のコツなど、ダイレクトリクルーティング運用に必要なノウハウを学べるため、自社にナレッジを蓄積していくことができます。

第三者の視点から自社の採用の強み・弱みを分析してもらえる

ダイレクトリクルーティング代行を導入することで、第三者の視点から自社の採用の強み・弱みを分析してもらえる点もメリットの1つに挙げられます。
自社だけで採用を進めると視野が狭くなり、盲目的になりがちです。
その点、ダイレクトリクルーティング代行を通じ第三者の意見を聞き、取り入れることで新たな採用戦略・推進が可能になるでしょう。

ダイレクトリクルーティングにかかる工数を削減できる

ダイレクトリクルーティング代行を導入することでダイレクトリクルーティングにかかる工数を削減することもできます。
ダイレクトリクルーティングは、求人広告への掲載のように求人を掲載して終わりではありません。常に企業からのアクションが必要になる採用手法です。
特にダイレクトリクルーティング導入初期は、効率的な進め方が分からず必要以上に時間を要することもあるでしょう。

その点ダイレクトリクルーティング代行を導入すれば、ダイレクトリクルーティング運用にかかる工数の一部もしくは全てを代行サービスに一任できます。
人事担当者に大きな負担が強いられることはありません。

ダイレクトリクルーティングは、ただ闇雲に候補者に対しスカウトを送付すればよいというものではありません。戦略・戦術に基づいた運用が肝要です。
せっかく導入に踏み切り運用したものの、時間と費用だけを費やしてしまった。ということがないよう、ダイレクトリクルーティング導入時は、代行サービスも併せて活用することも検討してみてください。

ダイレクトリクルーティングと求人広告の比較 まとめ

ダイレクトリクルーティングは、従来の採用手法である求人広告にはない次のような特徴を持ちます。

  • 転職潜在層にもアプローチできる
  • 候補者に自社の魅力を直接アピールできる
  • 採用ターゲットに近い人材から応募を募ることができる

株式会社学生就業支援センターのアンケート調査によると、もともと知っていた企業に入社した学生は、わずか16.4%です。

候補者に自社の魅力を直接アピールできるダイレクトリクルーティングであれば、求人広告を活用するよりもより多くの人材に自社を知ってもらえます。

少子高齢化による人材不足や優秀人材の獲得難化に伴い、積極的により効果的な採用手法を取り入れていく必要があります。

もし従来の採用手法に行き詰まりを感じているのであれば、今回紹介したダイレクトリクルーティングをはじめ新しい採用手法の導入をおすすめします。

参考:株式会社学生就業支援センター『22卒ナビサイトコンテンツの利用状況 学生・企業双方向調査』