採用市場や転職への考え方が移り変わる中、人材を採用するための手法も変化を遂げています。多様化する中途採用手法の中でも、ダイレクトリクルーティングは今多くの企業で導入が進んでいる新しい手法の1つです。
ダイレクトリクルーティングは“スカウト採用”とも呼ばれ、候補者に対してスカウトやオファーを送付し、直接自社の魅力をアプローチできる手法です。
「共感やビジョンにマッチした人材を採用できる」だけではなく、運用次第で採用コストを大幅に下げることも可能です。
しかし従来の求人を掲示し応募を待つ採用手法と比較すると、ダイレクトリクルーティングの運用には多くの時間と人手が必要です。さらに一定の成果を得るためには、緻密な戦略・正しい運用知識・豊富なノウハウが求められます。
そこでダイレクトリクルーティング運用をサポートする『スカウト代行』に注目する企業が増えつつあります。
とは言え、スカウト代行と一口に言っても様々なサービスがあります。
また「自社に導入すべきなのか？」と悩む企業・人事ご担当者も多いかと思います。
そこで今回は、これまで150社以上の採用をサポートしてきた筆者が、スカウト代行にまつわる情報をお届けします。スカウト代行の需要が高まる背景や具体的なサービス内容、スカウト代行を選ぶ時のポイントなどをお伝えします。
- ダイレクトリクルーティングに強い採用サービスを知りたい
- スカウト代行サービスに依頼できる業務を教えて欲しい
- データドリブンなスカウト代行を実現したい
上記に該当する、企業・人事ご担当者様はぜひご一読ください。
スカウト代行とは？
スカウト代行とは、スカウト機能がある求人メディアやダイレクトリクルーティング媒体の運用を代行してくれるサービスのことを指します。
ダイレクトリクルーティングがすでに一般的な手法として定着している海外と比較し、日本ではまだ普及して日が浅く、適切な運用ができている企業は僅かです。
「そのため、ダイレクトリクルーティング媒体に申し込んだものの、知見が足りず思うような運用成果が得られない」と悩む企業も少なくないでしょう。
スカウト代行はこれまでの支援実績で培われたノウハウや多彩な知見をもとに、ダイレクトリクルーティングの運用に苦戦する企業に対し、それぞれの採用課題に合った運用を代行・支援してくれます。
スカウト代行に依頼できる業務
スカウト代行に依頼できる主な業務内容は、次の通りです。
- スカウト採用戦略の設計
- スカウト媒体の選定
- スカウト媒体の基本設定
- 求人の作成
- スカウト文の作成
- 候補者の選定
- スカウトメール送信
- 応募者対応
- 面接日時の調整
- 効果測定・振り返り
スカウト採用戦略の設計
スカウト代行は単にスカウト配信を依頼するためのサービスではありません。
採用を成功に導くためには、経営計画との連動や自社の採用課題に絡めたスカウト戦略の立案が不可欠です。
スカウト媒体の選定
総合型から特化型など、ダイレクトリクルーティング媒体と一口に言っても多様なサービスが展開されています。
たくさんあるサービスの中から自社にマッチする媒体を選ぶのは用意ではありません。
特に知見のない企業・採用担当者様の場合、媒体選びだけに労力や時間を費やしてしまうケースも少なくありません。さらにアンマッチな媒体を選んでしまった場合、どれだけダイレクトリクルーティングに注力しても期待する効果は見込めないでしょう。
私が過去に採用を支援させて頂いた企業様の多くも媒体選びに頭を悩ませていました。
そして支援をさせて頂く中で利用媒体の変更に踏み切り、採用人数を大幅に増加させた事例もあります。スカウト代行であれば、ノウハウを活かした媒体選びをしてくれるでしょう。
さらには運用後も継続して利用すべき媒体なのか、データを以って立証してくれます。有益性の高い媒体選定を任せられる点は、スカウト代行ならでは利点と言えるでしょう。
スカウト媒体の基本設定
スカウト媒体に自社のプロフィール・募集要項を設定していく工程もスカウト代行に委託できます。
筆者が採用をご支援させて頂いた企業様の中には、ただ手順に沿って設定を進めている事例が散見されました。ただ“情報を反映すれば採用できる”というものではありません。
特に自社の強みをアピールする項目や採用担当者のプロフィール、募集要項などは型化されつつも他社と差別化を図れるポイントとなる項目です。
スカウト代行であれば、自社の魅力を存分に訴求できる原稿を考えてくれるでしょう。
スカウト文の作成
ターゲットや自社に合わせた魅力的なスカウト文作成もスカウト代行の大きな業務の1つです。
スカウト代行は事業知見を活かし、シーン・ターゲット・企業特性に応じて最大効果を見込めるスカウト文を作成してくれます。
個別感を印象付けられるオリジナル性の高い文章はもちろん、ビジョンや理念などを訴求した共感喚起型のスカウト文や、気軽な対談に呼びかけるカジュアルスタイルなスカウト文など、自社だけでは作成できないようなスカウト文を創作してくれる点もスカウト代行の魅力です。
候補者の選定
候補者選定は、ダイレクトリクルーティング運用において要となる工程です。
筆者が支援してきた企業様の中には、採用ターゲットとスカウトを送付する候補者にアンマッチが生じているケースもありました。
そうなると、せっかく魅力的なスカウトを送付してもエントリーには繋がりません。
仮にエントリーに至ったとしても、候補者がミスマッチを感じてしまい選考辞退に至る懸念も考えられます。
適切な候補者の選定はダイレクトリクルーティング成功に不可欠な要素です。
スカウト代行に委託することで、少しでも運用失敗の要素を排除することができるでしょう。
スカウト送付
ダイレクトリクルーティングは、候補者のレジュメからスカウトを送付する理由を見出し、スカウトを送ります。スカウト送付のフェーズは、候補者1人ひとりレジュメを読み込まなければならないため多くの時間が割かれます。
「スカウト送付に時間が割かれ、他の採用業務に着手できない」という企業も少なくありません。
採用業務の負担軽減という観点においてもスカウト代行は、企業・人事ご担当者様にとって心強いサポーターとなるでしょう。
応募者対応
面接日時の調整や応募者からの質問などの対応もスカウト代行に一任できます。
候補者1人とコミュニケーションを図るダイレクトリクルーティングでは、応募者対応にかかる時間も必然的に増えます。
自社内の限りあるリソースを有効に活用するためにも、ダイレクトリクルーティング媒体経由の応募者対応はスカウト代行に一任するのも1つの手と言えるでしょう。
効果測定・振り返り
運用成果の最大化を図るためにも、効果測定・振り返りは重要な工程です。
ダイレクトリクルーティングを運用していたとしても、データを収集し次回の運用に活かせている企業は、残念ながら僅かです。
スカウト代行であれば、効果測定・振り返りまで担ってもらえるケースが大半です。
ダイレクトリクルーティングはデータを用いてPDCAを回し改善を加えていくことで、初めて大きな成果を見込むことができます。
ご紹介の通りスカウト代行は、主にインターンシップや説明会など、学生との初回接点までがメインになります。
以降の業務はオプションとして依頼可能なサービスもあります。
正しいスカウト代行サービスの選び方5つ
スカウト代行を選ぶ時に意識したいポイントは次の通りです。
- 採用課題とのマッチ率
- 支援実績
- 予算・料金形態
- 委託業務の柔軟性
- 自社の運用とのマッチ率
上記5つのポイントを比較しながら総合的に利用するスカウト代行を選びましょう。
採用課題とのマッチ率
スカウト代行を選ぶ時、まず意識したいポイントとして採用課題とのマッチ率が挙げられます。
スカウト代行の中にはデータを用いて緻密な運用をしてくれるサービスもあります。しかし自社の課題がスピード感のある採用となれば、アンマッチに感じるでしょう。
また応募者・候補者に対し手厚いフォローができていないため、辞退率が高くなってしまうという課題に対し、サービスに応募者対応が含まれていない場合、課題解決には至りにくいでしょう。
採用課題とのマッチ率を見極めるためには、まずは自社の課題を洗い出し、課題解決の優先度を順位づけておくことをおすすめします。
支援実績
またスカウト代行を比較する際は、これまでの支援実績に注目することをおすすめします。
特にスカウト代行の担当者が採用したい職種に対し、適切な採用知見を有しているかを見極めましょう。
採用したいポジション・職種に対し知見がない場合、下記のようなトラブルや懸念も起こる可能性があります。
- スカウト内容が候補者に響かない
- ターゲットがズレてしまう
- 訴求ポイントを外してしまう
これは担当者に限った話ではありません。
ダイレクトリクルーティングを中途採用で用いたいと考えているものの、新卒採用の支援しかしたことのないスカウト代行に依頼してしまうケースも同じことです。
スカウト代行を探す際は、自社の課題や採用したいポジションに近い企業のスカウト代行を行ったことがある企業に注目しましょう。
またどのような支援実績を持つ担当者が付くのか、これまでの支援経歴をヒアリングしましょう。
予算・料金形態
予算もスカウト代行を選ぶ際のポイントになります。
料金形態・工程ごとの料金は、サービスごとに異なります。
委託見積金額が自社で用意できる予算の範囲内なのか、事前に確認をしておきましょう。
また従量課金型・パック型など、料金形態も多様です。
必ずしも高いサービスが自社にとって優良サービスとは限りません。
複数のスカウト代行を比較・検討した上で自社の予算・採用戦略に合った料金形態を提供している代行を選びましょう。
委託業務の柔軟性
委託業務の柔軟性は、スカウト代行を選ぶ際のポイントから外れがちな項目です。
スカウト代行を選ぶ際は、忘れないように意識しましょう。
採用には、シーズンがあります。
特に中途採用の場合は、欠員や新規事業のための採用がメインであり、突発的な採用が多くなる傾向にあります。
採用需要に合わせてスカウト数をコントロールできない、採用人数が充足し依頼をストップしたにも関わらず請求額は減額されないというケースも珍しくありません。
その点、残りのスカウトは他の職種採用に活用できる・採用再開時に残り予算を補填できるなどの柔軟度の高いスカウト代行の場合、予算を無駄にすることはないでしょう。
自社の運用とのマッチ率
スカウト代行に依頼したものの、自社との足並みが揃わず余計に工数がかかってしまったという話も良く聞きます。
「データのやり取りは自社に合わせたフォーマットなのか」「運営・進捗会議は自社の会議と連動した日時で設定してくれるのか」「候補者からの質問はすぐに連携してもらえるのか」など、求める細やかさやスピード感は企業ごとに異なります。
自社と足並みがそろわない代行はストレスを感じるだけではなく、調整に労力・時間が割かれてしまいます。自社の要望を汲みスピードを合わせて伴走してくれるスカウト代行を探しましょう。
【厳選】中途採用のスカウト代行サービス6つ比較
採用支援の中でもスカウト代行・ダイレクトリクルーティング支援に特化したサービスを提供する企業を紹介します。
ダイレクトリクルーティングは運用ノウハウが成否を左右すると言っても過言ではありません。スカウト代行の利用を検討する際は、ダイレクトリクルーティング支援に特化・強みを持つサービスの利用をおすすめします。
【イチグウRPO】イチグウ株式会社
画像引用：イチグウ株式会社『イチグウRPO』
イチグウ株式会社が提供する『イチグウRPO』では、スカウトの戦略設計から実際の配信まで一貫したスカウト代行サービスを提供しています。
そんなイチグウ株式会社の大きな特徴は、自社開発のスカウト分析ツール『SCOUTS』を保有している点。SCOUTSを活用することで、データドリブンなスカウト配信を実現します。
最終的には内製化できるような状態を目指した支援を提供してくれるため、イチグウ株式会社のノウハウを自社の採用財産として蓄積させていくことができるでしょう。
画像引用：イチグウ株式会社『SCOUTS』
また採用コストがかさみがちな中途採用ですが、イチグウ株式会社であれば包括的な支援提供だけではなく、ニーズに合わせて必要な支援を必要な分だけ提供してくれます。
予算内に合わせてパッケージを作成してくれる柔軟性の高さも魅力の1つと言えるでしょう。
初めてスカウト代行の利用を検討している企業や予算に合ったサービスを探している企業はぜひ利用をおすすめします。
【ダイレクト採用代行・支援】株式会社ダイレクトソーシング
画像引用：株式会社ダイレクトソーシング
株式会社ダイレクトソーシングでは、採用ポジションや職種に応じて40以上の媒体を使い分けるプロフェッショナルなダイレクト採用代行・支援サービスを提供しています。
2015年の創業以来ソーシング事業に特化してきただけあり、AIエンジニアや役員候補などのハイクラスの採用を得意としています。
特にエンジニア採用においては、エンジニア出身者が中心となり採用支援を提供するため、IT領域の採用においては高い成果を期待できるでしょう。
また日本Linkedln公式パートナーに認定企業でもあり、実績・安定性ともにバランスの良いスカウト代行です。
【エンジニアスカウト代行サービス】株式会社ネオキャリア
画像引用：株式会社ネオキャリア『エンジニアスカウト代行サービス』
株式会社ネオキャリアが提供する『エンジニアスカウト代行サービス』は、文字通りエンジニアの採用に特化したスカウト代行です。
同サービスの強みは、エンジニア経験を持つスタッフが在籍している点です。
現在の知識・経験をどう活かせるのかといった具体的な仕事のイメージや、今後どのようなステージが用意されているのかなど、エンジニアの悩みや転職理由を理解したスカウトメールを作成し、興味・関心喚起を促します。
株式会社ネオキャリアは、採用代行事業も展開しており、エンジニア職以外でもスカウト代行を依頼することが可能です。またエージェントコントロールサービス・応募受付対応サービスなど、他の採用にまつわる支援も充実しています。
採用にまつわる悩みが多岐に渡る企業におすすめのサービスです。
【PRO SCOUT】株式会社VOLLECT
株式会社VOLLECTは、ダイレクトリクルーティングに関連した業務だけに完全特化した採用支援事業を展開する企業です。
スカウト代行に特化しながらも、大企業・メガベンチャーを中心に200社以上の導入実績を誇ります。
ダイレクトリクルーティング専用のオペレーション体制を構築し、「高品質」×「低価格」なサービスが強みです。またクライアントのニーズ合わせた媒体を提案できるよう次々とローンチされるスカウト媒体をいち早くキャッチアップしているスピード感もダイレクトリクルーティングに特化した同社ならではでしょう。
【TARGET】Attack株式会社
画像引用：Attack株式会社『TARGET』
Attack株式会社は、ダイレクトリクルーティング支援を中心とした採用コンサルティングサービス【TARGET】を展開する企業です。
支援企業は、スタートアップやべンチャー企業専門が中心です。
2016年に設立した若い企業ですがWantedlyやforkwellなどダイレクトリクルーティングメディアの認定パートナーであり、各ダイレクトリクルーティングメディアとの共同セミナーも数多く開催しています。
【core scout】株式会社シンギョク
株式会社シンギョクが提供する『core scout』は、エンジニア・ダイレクトリクルーティングに特化した代行サービスです。
core scoutの特徴は、ダイレクトリクルーティング経験が豊富な複業人材でメンバーが構成されている点。元人材大手出身者だけで専門チームを組成しています。
専任のディレクター・クオリティーマネージャーを配置し、サービス品質の維持・改善を実現しているため、品質の高さが強みのサービスと言えるでしょう。
スカウト代行の需要が高まる背景
スカウト代行の需要が高まる背景には次のような要因が考えられます。
- 少子高齢化による労働人口減少
- 採用業務の煩雑化
- 人材採用を重要視する企業が増えた
ダイレクトリクルーティングの市場規模拡大に伴い、スカウト代行の需要も高まっています。しかしスカウト代行の需要が高まる理由は、単にそれだけではありません。
採用市場の変化もスカウト代行の需要が高まる理由の1つだと考えられるでしょう。
少子高齢化による労働人口減少
厚生労働省が公表した『地域社会の現状・課題と将来予測の共有について』によると、18歳人口の推移は、2018年以降再び減少局面に突入しており、今後、2032年には初めて100万人を割って約98万人になると試算が公表されています。
引用：文部科学省『地域社会の現状・課題と将来予測の共有について』
本データより、そもそもの労働人口の数が減少していることが分かります。
中途採用においても採用競争の激しさが増す中、企業は転職を検討している顕在層だけではなく、「条件にマッチする求人があれば転職する」「30歳を迎えるタイミングで転職を検討したい」といった潜在層へのアプローチも求められるようになりました。
また他社や他業界に興味・関心を抱いている人材に対しても、自社に興味を持ってもらえるような取り組みも必要になっています。
そのような市場背景にマッチする手法がダイレクトリクルーティングです。
しかし潜在層や他社や他業界に興味・関心を抱いている人材がスカウト1つで自社に興味を抱くようアプローチをしかけることは容易ではありません。
そのような採用において、より戦略的な運用を求め、スカウト代行を利用する企業が増えてきました。
採用業務の煩雑化
採用手法が多様化し採用業務が煩雑化している点もスカウト代行の需要が増している理由の1つと言えるでしょう。
ダイレクトリクルーティングは、候補者・応募者に対し1人ひとりに合わせたコミュニケーションが可能です。しかし一方で他の手法と比較して運用工数がかかり、人事担当者の負担が増大してしまいます。
このような内部事情からスカウト業務を外注化する機運が高まっています。
人材採用を重要視する企業が増えた
近年日本の企業において採用そのものの考え方に大きな変化が生じています。
『ただ人材を採用・雇用する』という考え方から、経営戦略の根幹の1つとして採用活動に取り組む企業が増えてきました。
工数や時間の削減だけを目的にスカウト代行を利用する企業は減少傾向にあります。
将来に向けた投資を目的にスカウト代行を利用する動きも進んでいます。
このような理由もスカウト代行の需要が増している理由と考えられるでしょう。
スカウト代行 まとめ
採用競争が激化する中途採用において、ダイレクトリクルーティングはもはや欠かすことのできない手法の1つになりつつあります。
しかしノウハウや時間が必要になるダイレクトリクルーティングは、自社だけで成功に導くことは決して簡単ではありません。
そんなダイレクトリクルーティングの運用を成功に導く手段の1つとしてスカウト代行が挙げられます。スカウト代行を活用することで、ダイレクトリクルーティングを成功に導くだけではなく自社の他の採用課題解決の糸口を掴めることもあるでしょう。
しかし一口にスカウト代行と言っても料金・サービス内容・支援方法は様々です。
本記事で紹介したスカウト代行を選ぶ際のポイントを参考に、ぜひ自社にマッチするスカウト代行を探してみてください。
