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人事・採用ニュース週まとめ(10/12〜10/16)|勤務間インターバル・つながらない権利の議論、最低賃金改定で半数が給与変更
先週(10月12日〜16日)は、10月12日がスポーツの日で4日間の短い週でした。厚生労働省の審議会では、勤務間インターバルや「つながらない権利」など働き方のルールをめぐる議論が進みました。民間の調査では、10月から順次発効している最低賃金の改定を受けて、半数の企業が給与を見直すことがわかりました。中小企業の採用・労務に関わる4つの話題をまとめます。
1. 勤務間インターバル・「つながらない権利」・労働時間の把握が審議会で議題に
10月14日、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会(第212回)が開かれ、「労働時間法制の具体的課題」として3つの論点が示されました(厚生労働省「第212回労働政策審議会労働条件分科会 資料」)。
- 勤務間インターバル:終業から次の始業までに一定の休息時間を確保する仕組みです。現在は労働時間等設定改善法で企業の努力義務にとどまっており、導入を進めるために「法的位置付け」を含めてどのような措置をとるべきかが論点とされました。
- 「つながらない権利」:勤務時間外の業務連絡に応じなくてよいとする考え方です。一部の国で法制化されていることにふれたうえで、各企業が実態に応じて業務連絡のルールを明確にすることをどう考えるかが問われました。
- 労働時間の把握:使用者には労働時間を適正に把握する責務があり、労働安全衛生法にも把握義務がありますが、まったく把握できていない事業場があるという指摘を踏まえて、あり方を議論するとしています。
現時点では論点が示された段階で、結論や法改正の内容は決まっていません。ただ、3つとも「休息をどう守るか」に関わるテーマです。イチグウとしては、制度化を待たずに、退勤後のチャットや電話の扱いを社内で決めておくことをおすすめします。求職者が面接で残業や休日の連絡について尋ねることは珍しくありません。そのときに具体的なルールを答えられること自体が、応募者にとっての安心材料になります。
2. 最低賃金の改定で、51.3%の企業が給与を変更
東京商工リサーチは10月15日、最低賃金の改定に関するアンケート結果を公表しました(調査期間10月1日〜8日、有効回答5,354社)。2026年度の最低賃金は全国平均で1,177円と、前年度から56円上がっています(東京商工リサーチ「『最低賃金』改定で、51.3%の企業が『給与変更』」)。
- 改定にあわせて給与を変更する企業は51.3%。内訳は「下回る時給の雇用はないが引き上げる」24.6%、「最低賃金と同額まで引き上げる」13.5%、「最低賃金を超える水準まで引き上げる」13.1%でした。
- 引き上げ後の最低賃金を下回る時給で雇っている人がいる企業は、大企業で27.9%、中小企業で26.5%でした。
- 2020年代に時給1,500円へ引き上げることを「不可能」と答えた企業は39.3%で、前年の調査の49.2%から9.9ポイント下がりました。
- 対策(複数回答)は「商品・サービスの価格転嫁」が43.9%で最多。「できる対策はない」も10.3%ありました。
最低賃金の発効日は都道府県によって異なり、10月以降に順次切り替わります。採用の面で気をつけたいのは、最低賃金ぎりぎりの時給で募集を出していると、改定後すぐに求人が法定額を下回るおそれがあることです。掲載中の求人票の時給と、自社の地域の発効日をあわせて確認しておきましょう。また、周りの企業の半数が給与を上げている以上、「最低賃金と同額」の時給では応募が集まりにくくなります。募集時給は地域の相場と比べて決めることが大切です。
3. 令和8年熊本地震で、産業雇用安定助成金に特例
厚生労働省は10月15日、令和8年熊本地震の影響で事業活動を一時的に縮小せざるを得なくなった熊本県内の事業主を対象に、産業雇用安定助成金の特例を実施すると発表しました(厚生労働省「令和8年熊本地震に伴う産業雇用安定助成金の特例を実施します」)。
- 対象:従業員を出向させる熊本県内の事業主(出向元)と、その出向を受け入れる全国の事業主(出向先)
- 助成率:出向期間中に支払う賃金の4/5(中小企業)、2/3(中小企業以外)
- 期間:令和8年10月1日から令和9年9月30日までに実施した出向
この助成金は、雇用を守りながら人材を一時的に別の企業で働いてもらう「在籍型出向」を支えるものです。出向先は全国の事業主が対象になるため、熊本県外で人手が足りない企業にとっては、被災地域の雇用維持に協力しながら、即戦力の人材に一定期間働いてもらう選択肢にもなります。詳しい要件や手続きは、厚生労働省のリーフレットや労働局で確認してください。
4. 家政婦(夫)の求人をまとめて発信する「家政婦(夫)ネット」が始動
厚生労働省は10月13日、家政婦(夫)紹介所が連携して求人の概要を発信するサイト「家政婦(夫)ネット」の運用をモデル事業として始めたと発表しました(厚生労働省「家政婦(夫)ネットの運用(モデル事業)を開始しました」)。紹介所の多くは小規模で、利用家庭とのマッチングや働き手の確保に苦労していることが背景にあります。現在は東京都内の求人が対象で、仕事の場所・内容・賃金の条件で検索でき、紹介所に直接連絡できます。
小規模な事業者が1社ずつ求人を出しても、なかなか求職者の目にとまりません。そこで業界で情報を持ち寄り、仕事内容をリーフレットや動画で伝えて、潜在的な働き手を掘り起こそうという取り組みです。業種を問わず、中小企業の採用でも「仕事の中身を具体的に見せる」ことは応募を増やす基本です。自社の求人で同じことができているか、見直すきっかけにしてみてください。
まとめ
先週は、休息時間や勤務時間外の連絡といった「働き方のルール」と、最低賃金の改定にともなう「賃金」の話題が中心でした。どちらも、求職者が応募先を選ぶときに重視する条件です。法改正や改定を待ってから対応するのではなく、求人票の時給や社内の連絡ルールを先に整えておくことが、採用での差につながります。今週は10月22日(木)に労働政策審議会の雇用保険部会が予定されており、雇用保険制度の議論の動きにも注目です。
参考資料
- 厚生労働省「第212回労働政策審議会労働条件分科会(資料)」(2026年10月14日)
- 厚生労働省「労働時間法制の具体的課題に関する検討の論点について(勤務間インターバル制度、「つながらない権利」の在り方、労働時間の把握)」(2026年10月14日)
- 東京商工リサーチ「『最低賃金』改定で、51.3%の企業が『給与変更』 2020年代の1,500円 『対応不可能』が4割切る」(2026年10月15日)
- 厚生労働省「令和8年熊本地震に伴う産業雇用安定助成金の特例を実施します」(2026年10月15日)
- 厚生労働省「家政婦(夫)サービスの求人情報の概要を発信する「家政婦(夫)ネット」の運用(モデル事業)を開始しました」(2026年10月13日)
- 厚生労働省「第214回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会(開催案内)」(2026年10月15日)